金融機関との交渉の前に実演でケーススタディ【愛知同友会経営相談室】

 2月1日、愛知同友会経営相談室が一般会員向けに開催した学習会では、金融機関との融資交渉が「実演形式」(会員が貸し手と借り手の役を演じる形式)で行われ、会員50名が参加しました。

 実演で取り上げられたのは、経営破たん寸前の製造業社長が新事業の投資資金の融資を受けるため、金融機関との交渉に臨むという、よくあるケース。経営相談室で相談を受けた後、本番の交渉に臨み明るい兆しが見えてくるという流れでした。

 この中で述べられた交渉のポイントは以下です。

(1)経営者自身が自社の財務状況を具体的に把握し、正確に説明できるようにする。
(2)事業の維持発展のために不断の努力をしている姿勢を示し、事業の将来性・計画を語れるようにする。
(3)データ整理や計画づくりには税理士や弁護士などの専門家を積極的に活用する。
(4)金融機関には誠実さを示し、偽ったデータなどは絶対に出さない。
(5)金融機関の説明に納得できない場合は、どこに問題があるのかあきらめずに食い下がる。

 最新情報も報告され、中小企業金融円滑化法の施行後、金融機関の対応が大幅に柔軟になっており、資料・計画があれば交渉が通る可能性が非常に高くなっていること。

 同時に、あくまで不況下の「緊急措置」であることを踏まえ、業績が回復次第、返済はきちんと行っていくことが重要であると述べられました。

 まとめでは、相談室長の籠橋弁護士より、融資交渉がうまくいった後に、事業回復には「労使見解」や経営指針の実践で経営体質の本質的な強化をはかり、経営者同士の情報交換から事業展開の具体的な知恵を得ることが必要であり、まさしく同友会での学びと実践を行っていくことがカギを握っていることなどが語られました。

 今後、経営相談室としては、「労使見解」に基づいて危機突破の専門的アドバイスや情報発信を今後も行っていくことと、将来的には地区ごとに相談窓口を置けるよう、「同友会らしい」専門家の組織化と育成を行っていく方針が述べられました。

「中小企業家しんぶん」 2010年 2月 15日号より