経営指針を見直す前の自社評価に~(株)紀之国屋 代表取締役会長 中村 高明氏(福岡)

【変革への第1歩~活用しよう企業変革支援プログラム】2(続)

 『企業変革支援プログラム・ステップ1』を活用し、企業課題の明確化、社員との現状認識の共有化、経営指針の実践など、「企業変革」につなげている事例(企業)と、それを促進する事例(同友会)を紹介する本シリーズ。今回は、前号に続き、第42回中同協総会第6分科会から、(株)紀之国屋・中村高明氏(福岡)の報告です。

現状の立ち位置と目標

 「V 付加価値を高める」のカテゴリーは私どもの弱点です。

 「V-(1) 製品やサービスの企画・設計について」の項目において、会長と社長の評価は共に2、幹部社員の評価の平均は2・2で、会社内でも顧客のニーズをきちんとつかめていないという評価になりました。

 そこで、営業担当者は顧客のニーズカードを使って、日々意見を営業部長に提出するということになりました。

 「V-(2) 製品やサービスを生産・提供する仕組みと体制、その運営」の項目においても低く、会長と社長の評価は共に2、幹部社員の評価の平均は2・4となっています。この項目の評価を3に上げるために討議した結果、製品・サービスのニーズを集めるということと、新商品の開発を企画していくということが大切であるということにたどり着いたのです。

 特に、今のところは新商品の開発を企画していく習慣がないため、お客様からニーズが出てきた場合、営業担当者が「うちではそういうことはできません」と断っていたかもしれないのです。

 しかし、製品やサービスを生産・提供する仕組みができていれば、それが自社の商品になりうるのです。そのあたりをシステム化し社内に定着させなければと考えています。

毎年経営指針を見直す前に自社評価を

 幹部会議において確認したのは、会社の健康診断は『企業変革支援プログラム・ステップ1』を用いて年に2回行うということです。そして、毎年経営指針書を成文化する前にこれを使ってチェックをすることです。まずは幹部と一緒にやっていきますが、理想は社員全員と一緒に『企業変革支援プログラム・ステップ1』を使うことです。

 経営指針書を作って発表しても、どこまで経営指針書が浸透しているのかが今日までわかりませんでした。就業規則は整備したし、人事制度は整備したし、すべてのことはやっているから、絶対社員は満足していると思っていたが、本当のところは違っていたと『企業変革支援プログラム・ステップ1』をやった結果、わかってきたのです。

 どの程度浸透しているのかというのは、やはりこういうものを使わないと、社長個人の感覚でやっていては、所詮社長個人の頭で考えていることに過ぎず、社員の真の考えを知ることができない。

 そういう意味では、変革をするためには絶対に活用できるものです。これをやることで、社長だけでなく、幹部にも気づきがありました。

 「企業変革支援プログラム」をはじめ、同友会にあるものは同友会の優秀な頭脳が作っているすばらしいものです。同友会にある素晴らしいツールを使わないと、「何のために同友会に来ているんだ?」となります。同友会の例会などで学んで「良かったね」で終わってしまえば、「同友会は同友会」で終わってしまいます。同友会運動と企業経営は不離一体です。

 同友会で学んだことを1つでも2つでも自社に落とし込んでいって、実践していかなければならないのです。

「中小企業家しんぶん」 2010年 9月 15日号より