人間尊重経営の原点を考えた「障がい者雇用支援フォーラム」北海道・札幌支部が札幌市と共催

“握った手は離さない”

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 11月12日、北海道同友会札幌支部障害者問題委員会では、札幌市と共催して、「障がい者雇用支援フォーラム」を開催しました。今年で4回目となるこのフォーラムには、会員経営者のほか、障害当事者や大学・行政関係など190名が来場しました。

 当日は、京都同友会副代表理事の大槻裕樹氏((株)大槻シール印刷社長)と、社員の後藤美穂さんをお招きし、育ち合う経営をめざして取り組んできた体験から学びあいました。

 後藤さんは、生まれつき耳が聞こえません。双方にとまどいもありました。どのようにサポートしたらよいかという社内の議論の中で、「耳が聞こえないことが障害ではなく、コミュニケーションを取りにくいことが本当の障害ではないか」という社員の言葉から、会社の雰囲気が変化していきます。

 「できないことをもって人を入れ替えるのではなく、彼女が成長したいと思っている限り、握った手を離さずにいたい。小さな会社なので関われることは小さいが、1人でも障がい者が自立して生きていけたらと願います」と結んだ大槻氏。その傍らで、働くことへの想いを懸命に手話で伝えようとする美穂さんの姿に、会場中が温かい雰囲気に包まれます。

 要約筆記のボランティアの方や手話通訳者の方々の力を借りて、講演の内容が伝えられる様子も新鮮でした。

 続いて登壇した(株)メディア社長の小林稔子氏(札幌支部会員)は、「中途採用した社員から精神障がいがあることを伝えられ、会社ぐるみで支えてきた」事例を報告。当事者の社員も同席し、自らの体験について勇気をもって語った姿にエールの拍手が送られました。

「中小企業家しんぶん」 2011年 1月 15日号より