共同研究開発で持続可能な地域産業形成へ―産学官連携委が実践企業を視察【北海道】

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 北海道同友会産学官連携委員会(土屋洋二委員長)は3月11日、オホーツク支部で委員会を開き、産学官連携事業を推進する企業を視察しました。

 はじめに視察した(株)倉本鉄工所(倉本登社長)は、1946年9月の創業以来、「まちづくり・ひとづくり・ものづくり」を掲げ、現在は各種機械の設計製作、据え付けを展開しています。

 特許技術である溶射を用いた共同研究開発について報告した倉本氏は、「フッ化ピッチをアルミニウムで巻いた線材を溶かしながら吹きつけて皮膜をつくる溶射技術により、構造物などに非常に高い撥水効果をもたらし、長期間機能が保たれる表面加工を可能にした」と述べ、新しい市場形成に対する意欲を語りました。

 また、倉本氏が代表を務める「北見ブランドの会」で取り組む、低コスト・短期間で専門業者以外でも簡単に酢を製造できるシステム「ビネガーファーメンター」と関連商品の共同開発に関する実績も報告しました。

 次に、小麦、大豆、ジャガイモ、タマネギなど野菜の生産と、イソップコリドールを推進する(株)イソップアグリシステム(門脇武一社長)を視察、門脇氏が報告しました。同社は農業者、農業生産法人、異業種企業で構成されています。

 門脇氏は、「持続可能な地域産業の形成を図るため、お互いが知恵を出し合い、魅力ある地域づくりを推進することがイソップコリドールの事業コンセプト」と語りました。

 情報技術を農業にも生かす取り組みを推進している門脇氏は、「新しい枠組みによるIT活用型の精密農業を構築することで、今まで経験や勘に頼ってきた農業のデータを収集・分析することが可能になる。これにより、ほ場と作物生産の最適分析を可能にし、品質の安定化にもつながる」と述べ、農業の持続的発展が安心安全な地域社会構築に不可欠だと強調しました。

 その後、委員会と懇親会で産学官連携について意見交換し、交流を深めました。

(「中小企業家しんぶん北海道版」4月15日付より)

「中小企業家しんぶん」 2011年 4月 25日号より