持続的な地域づくりを~農業部会を設立【愛知】

 愛知同友会は2月25日、「農業新時代~新しい農業経営の姿と使命~」をテーマに農業部会(会員数38名)の設立総会を行い、部会内外からおよそ70名が参加しました。

 愛知県は広大な濃尾平野や多様な自然条件、名古屋市など大消費地が近いという地理的条件を生かし、それぞれの地域で特色のある農業が盛んに営まれています。農業生産量に注目をすると、全国一位の産出額を誇る電照キクや洋ラン、キャベツなどをはじめ、さまざまな作物が幅広く生産され、さらには認定農業者の平均所有農地面積は北海道に次いで全国2位といった特徴もあります。

 農業部会が設立された背景には、愛知県で2008年のリーマンショック・トヨタショックをきっかけに自動車を中心に産業・経済構造の大きな変化が起き始めたことがあります。そこで将来的に愛知県経済を成り立たせていく手段の1つに、農業を含む第1次産業に注目が集まりはじめました。

 行政はじめ、さまざまな企業や団体で農業を基幹産業とし、愛知県経済を牽引する計画や取り組みが進められています。そして愛知同友会においては、農業部会発足を皮切りにさまざまな専門部会を立ち上げることで、持続ある地域づくりを実現することを目標としています。

 農業部会設立総会の当日は、石川同友会会員の(株)ぶった農産・佛田利弘氏が「経営者はこう考える。~農業構造の変化、農業者の育成、そして、未来の農業~」をテーマに記念講演を行いました。佛田氏は、愛知県経済における産業多様性の観点から愛知県の農業に注目し、今後は基幹産業として県産業を牽引する可能性を指摘しました。また、農業部会会長に選出された(株)愛農流通センター・池野雅道氏は、「農業部会を皮切りに持続ある地域づくりを実現していきたい」と抱負を語りました。

 農業部会では、メンバーが「地域と共に歩む中小企業」や「人間尊重経営」といった同友会理念を実践し、その輪を地域に広めることを目標としています。そして農業を経営化して利益を確保し続け、将来を担う人材を育成することで、持続的な地域づくりが実現できると考えています。

 愛知県のそれぞれの地域が持つ可能性をこれからいかに開花させるのか、農業部会の活動に期待が集まる総会となりました。

「中小企業家しんぶん」 2012年 3月 15日号より