新しい会計ルール 中同協も作成に参画-中小会計要領 おおいに活用を【大橋中同協政策委員長談話】

 本年2月に「中小企業の会計に関する基本要領」(以下、中小会計要領)が公表されました。これは、「中小企業の会計に関する検討会」(事務局:中小企業庁・金融庁)が作成したものです。同検討会の委員を務めた大橋正義中同協政策委員長((株)大橋製作所社長)に中小会計要領の背景と意義について聞きました。

―中小会計要領はなぜ作られたのですか。

大橋 中小企業が簡単に利用できる会計ルールは今までありませんでした。実は2年前に、わが国の会計制度が国際財務報告基準(IFRS)との収斂(しゅうれん)が進む中、中小企業会計もその影響を受ける可能性がありました。
 そこで、日本商工会議所や中同協など7団体が「中小企業の実態に即した会計基準の策定に関する意見」を出し、IFRSの影響を受けない、中小企業の目線に立った新しい会計ルールを中小企業団体が参加して作ることを提言しました。
 その後、「中小企業の会計に関する検討会」が設置され、中小企業団体も参加して、ようやく会計の新ルールが作られたわけです。

―なるほど、中同協も参加して作ったのですね。

大橋 そうです。ですから、大いに活用を進めていただきたいと思います。
 2000年代の初め、貸し渋り・貸しはがしなど金融問題で騒然となった頃、同友会は金融アセスメント法制定運動に取り組みました。その際、金融機関や金融庁などと懇談したときに、よく言われたのが、中小企業会計の信頼性でした。中小企業は税務署用、金融機関用などと何種類も決算書をつくると。金融機関などの問題を言うなら、中小企業も自らの身をただす必要があることを学びました。
 また、中小企業憲章でも中小企業の実態に則した会計制度の必要性を強調していました。その要請に応えたのが中小会計要領といえます。
 中小会計要領は、自社の経営状況の把握に役立つ会計をめざしています。中小企業のための制度インフラがようやく整備されたと評価できるでしょう。

「中小企業家しんぶん」 2012年 4月 15日号より