社員中心の社会貢献活動で地域力アップ 大里綜合管理(株)(千葉)

【特集】女性の活躍促進で、企業力・地域力アップ

 千葉同友会の大里綜合管理(株)は、九十九里浜のある千葉県外房エリアの不動産の維持管理・売買・賃貸借仲介を柱に、木造住宅の設計・施工管理やギャラリー・カルチャー教室の運営、地域環境整備に関するボランティア活動など多岐にわたる事業を行っており、30名の社員が活躍しています。

社員の家族にとっても風通しのよい会社

 大里綜合管理では子連れ出勤が認められています。男性社員が子どもと一緒に出勤することも珍しくなく、子どもも一緒に朝礼に出席します。時にはお昼休みに合わせて家族が弁当を届け一緒に食べることもあるといったエピソードからも社内の和やかな雰囲気と風通しのよさが伝わってきます。社屋のスペースを利用した学童保育も併設し、地域にも開放しています。

社長の野老(ところ)真理子氏が先代から会社を引き継いだ19年前、自身も3人の子どもを育て両立させてきました。その経験から、働き方についても社員が自発的に工夫をしながら課題を乗り越え、お互いに助け合って仕事と子育てを両立させるという方針で、短時間勤務や一時帰宅などの制度を整備しつつ柔軟に両立支援を行ってきました。

毎日一時間の清掃・環境整備活動で「気づく」訓練

 地域貢献事業にも力を入れる大里綜合管理。駅周辺の掃除活動や草むしり、登下校時の交通整理など多岐にわたる地域貢献活動は200を超え、東日本大震災の被災地支援は震災直後から地域の人にも声をかけ、ほぼ毎週行っています。この支援活動のためにマイクロバスを運転できるよう大型免許を自主的に取った社員もいたそうです。また、社内の空間をカルチャー教室やコンサート、講演会の会場として地域に開放しています。このようにスペースを余すことなく活用できるのは、毎日一時間行っている清掃・環境整備活動あってのことと野老社長。社員の「気づく」訓練にも役立っているそうです。眠っている宝を見つけて生かしていく――この視点は社内の業務改善提案や地域貢献活動の広がりにも生かされ、社員のやりがいにもつながっています。

地域住民が自ら宝を磨き輝かせる支援を

 また、地域の女性の活躍支援も行っています。ランチの時間を利用して社屋の2階にコミュニティダイニングを開設し、料理自慢の女性が日替わりで腕をふるっています。ここで力をつけて3人の方が独立されたとのこと。他にも社長室を改装したギャラリースペースをブロックに分けて貸し出し、手作り作品の直売の支援もしています。

 地域住民の1人として、どうしたら地域の価値を上げていけるかを社内で真剣に話し合っているそうです。社員が積極的に「住民一人1貢献のまちづくり」を支えられる会社を目指し、社員も積極的に地域と関わっています。

 利益追求に走らず企業と地域社会の融合を図り、地域貢献をしながら利益を上げるのが会社であるという地域に対する姿勢は、地域の人々にもしっかりと伝わり絶大な信頼を得ています。

地域や環境に力を入れることは経営者の責任

 「これまで日本の経営者は利益に直結する仕事に対して必死に取り組んできました。結果、力を入れてきたサービスや品質は飛躍的に成長し、世界的にも評価されるようになりました。その一方で直接お金にならない地域や環境に関することが今、深刻な問題になっています。今こそ経営者は見過ごしてきた地域や環境に関する部分を伸ばす責任があるのではないでしょうか」と野老社長はきっぱりといいました。

 男女関係なくそれぞれの働き方を尊重し、社員一人ひとりが努力や工夫を重ねお互いに高めてきた大里綜合管理の取り組みは社内にとどまりません。地域貢献も事業の柱と位置づけ積極的に展開し、地域の女性のエンパワーメントやソーシャル・ビジネスにも結びつき、地域を巻き込んだ大きなうねりとなっています。 WEPsの目指す地域に根ざした企業として、地域社会や関係機関と共に平等推進に取り組むモデルとしても注目されています。会社も地域もそれぞれの家族も一緒に成長し合い、みんなが「しあわせ」になるビジネスモデルを築くという壮大な目標に向かって挑戦し進化し続けています。

会社概要

社名 大里綜合管理株式会社
代表者 代表取締役 野老(ところ)真理子
設立 1975年7月
資本金 1,000万円
所在地 千葉県山武郡大網白里町みやこ野
従業員数 30名
事業内容 ・不動産の維持管理・売買・賃貸借仲介 ・木造住宅の設計・施工管理および付帯サービス ・雑工事の施工管理・損害保険 ・ギャラリー・カルチャー ・地域環境整備に関するボランティア活動

「中小企業家しんぶん」 2013年 1月 15日号より