第5回(最終回) 地域経済に貢献する中小企業と同友会活動とエコノミックガーデニング

【地域活性化の鍵~中小企業の元気】(拓殖大学政経学部教授 山本尚史)

 中小企業振興基本条例、企業変革支援プログラム、エコノミックガーデニングに焦点を当て、地域経済と中小企業との関わりについて考える連載の第5回(最終回)。今回は「地域経済に貢献する中小企業と同友会活動とエコノミックガーデニング」です。

「支部の皆さま、政策委員会主催の勉強会にようこそお越し下さりました。今回の勉強会では『エコノミックガーデニングを学ぶ』というテーマにて、若先生からご発表いただきます。では、お願いします」

 ご紹介いただきましてありがとうございます。

 エコノミックガーデニングは、地域経済活性化のための技法です。単なる新政策ではなく、中小企業振興基本条例によって実際に地元の中小企業の活動が活発になるために必要な技法です。また、企業変革支援プログラムステップ2の「Ⅳ.市場・顧客および自社の理解と対応状況」「Ⅴ.付加価値を高める」などにおいて、変革が進みにくい箇所に取り組む上で経営者をサポートする技法でもあります。

 中小企業の選別が激化する時代においては、(1)潜在的な社会的ニーズをすばやく把握し、(2)自社や連携先の技術により製品化して、(3)そのニーズに対するオンリーワンの供給源になる、ということができれば、事業の社会性も収益性も高めることができるでしょう。エコノミックガーデニングのさまざまなツールが企業家精神ある経営者をサポートします。

 エコノミックガーデニングのツールには、(1)ビジネスチャンスの発見につながるもの、(2)潜在的な顧客や取引先に自社を見つけてもらうことにつながるもの、(3)新しいビジネスの開発につながるもの、(4)事業承継につながるもの、があります。いずれも、情報メディアの活用や人的ネットワークの向上と拡大、企業における価値開発などが含まれています。

 エコノミックガーデニングは、地域の企業に大きなメリットをもたらします。通常は、そうした取り組みは行政がやることだと思われていますが、同友会主導によるエコノミックガーデニングを、できる県や支部から実施してはいかがでしょうか。中小企業振興基本条例の制定・活用・見直しを促進することになると思います。

 最後に、拓殖大学第三代学長である後藤新平先生の言葉「自治三訣」を紹介します。

 人のお世話にならぬやう
 人のお世話をするやう
 そして
 むくいを求めぬやう

 この言葉は後藤先生がボーイスカウト日本連盟初代総長を務めたときに述べられたものですが、「21世紀型中小企業づくり」にも通じる精神だと思います。

 同友会の皆さまが、地域内連携を通じて、永続する地域社会をつくることに貢献して下さるようお願いいたします。

 ご清聴いただきありがとうございます。

 「若先生、ご発表をありがとうございました。同友会の『自主・民主・連帯』の精神は、後藤先生の『自治三訣』と共通するものがあります。その精神にて地域を元気にする活動を続けていきましょう。若先生、今後ともよろしくお願いします」

(終)

「中小企業家しんぶん」 2013年 8月 15日号より