地区会長が経営指針を作成し広がる~経営指針成文化セミナー【埼玉】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】42

経営指針成文化セミナー

 埼玉同友会経営委員会では、2014年度の経営指針成文化セミナーが開催されています。埼玉同友会ではセミナーを通してこれまでに144名(2005年以降)が経営指針を作成し修了しています。

 しかし、以前は委員会の作成にかける熱い思いとは裏腹にセミナー参加者は伸びませんでした。そこで、委員会では各地区会長(埼玉同友会は支部を地区会としています)に「経営指針成文化セミナーを受講しよう」と呼びかけました。地区会長が経営指針を作成し実践することで、受講前と受講後の変化が実践例を通じ伝わりやすくなり、地区会長の実践に学ぼうと地区会の中で経営指針を作成したいという人たちが増えてきました。効果は広がり今期のセミナーは、全地区会に近い13地区会からの参加となりました。また当初32名の定員設定が受付開始から早期に定員に達し、増員を図り36名の参加となり参加者の熱意が伝わるものとなっています。

 セミナーのなかでもさまざまな工夫をしています。これまでは「理念編」「戦略編」「計画編」「実践編」というテーマで理念の作成や財務諸表の見方などを学んでも、今回の学びがどのように生かされるのかがわからないという受講者からの声が多くありました。そのため、全体の流れシートを作成し指針セミナーの流れを「見える化」しています。セミナー全体の流れの把握に役立っています。受講者の声を生かし毎年セミナーの内容の充実を図っています。

 そして、指針作成後のフォローとしてセミナーを修了した受講者は経営委員に登録し翌年以降のセミナーにてアドバイザーとして活躍しています。今期は受講者とほぼ同数のアドバイザーが参加し、受講者の思いを引き出し経営のヒントをお互いに交流しています。

 課題は実践へのフォローです。せっかく作成した指針を机の中にしまわず、長期的な視点で実践を確認し合える委員会をめざしています。

 経営指針成文化セミナーは全7講。現在第3講までを終了し、受講者・アドバイザーともに経営に向き合い最終講の経営理念発表に向けて学びを深めています。

 中同協事務局 冨永択馬

「中小企業家しんぶん」 2014年 9月 5日号より