消費税引き上げの再検討を 中同協第2回幹事会で決議を承認

 11月7日、中同協第2回幹事会が東京で開催され、42同友会・中同協から97名が参加。「消費税引き上げの再検討を求める決議」を承認しました。

中同協幹事会

 会議では同友会景況調査報告(DOR)7~9月期の結果と消費税調査結果の概要について中平中同協主任事務局員が報告。円安・物価高、不況がらみの二重苦が中小企業を直撃し、景況感が当初の予想から大きくダウンしていること。そのような中、消費税率の10%への引き上げに対して延期を求める声が急増し、「中止すべき」と合わせると66%に達することなどが紹介されました。

 鋤柄中同協会長は、「消費税率の引き上げについて延期や中止を求める会員の声が増えていることを受け、幹事の皆さんのご意見をお伺いしたい」と提起。石渡中同協政策委員長は、前日の政策委員会で「消費税引き上げの再検討を求める決議」を幹事会に提案することになったことなどを報告しました。

 出席者からは「これだけ景気回復が実感できない中で、10%にするのはやはり萎縮する」「景況感が悪い。時期的にこのタイミングはいかがなものか」「4月に3%あげたが、どこに使われているのかが見えてこない」などの発言があり、文言を一部修正した上で決議を発表することを承認しました。

 幹事会では外形標準課税など中小企業向け増税に対する今後の取り組み、第4回人を生かす経営全国交流会(11月20~21日、長野)の取り組み、第45回中小企業問題全国研究集会(2015年3月5~6日、神奈川)の実施内容、第47回定時総会(2015年7月9~10日、岩手)の開催要項などについても確認しました。

消費税引き上げの再検討を求める決議

 消費税の税率は、2014年4月に現行8%に上げられ、2015年10月に10%へと2段階で引き上げられることになっています。ただし、引き上げに当たっては、「経済状況を好転させること」が条件とされています。

 政府は12月にも10%へ引き上げるかどうかの判断を行うとしていますが、現在の経済状況は「好転している」とはとても言えない状況です。特に、消費の不振は、「反動減」などの一時的なものではなく、もっと長期的・構造的なもののように思われます。2人以上世帯の消費支出や勤労者実収入は引き上げ以降6カ月連続の減少となるなど、家計の状態は深刻です。

 当会の景況調査(DOR)でも、前年同期比の業況判断DI(「好転」―「悪化」割合)は、4~6月期調査の段階では7~9月期にはV字型の回復となることを予測していましたが、実際は7~9月期でもさらに悪化し、正反対の結果となりました。次期、次々期の見込みでもマイナス予測は変わらず、L字型に近い形で推移する可能性が高くなっており、今後も回復の兆しは見られません。

 そのような中で10%への引き上げを実施するならば、長期にわたる景気後退の引き金にもなりかねず、政府が重点課題に掲げる「地方創生」も実現が遠のいてしまう可能性があります。

 このような経済状況を反映し、当会の「消費増税影響調査」にも変化が現れています。5月調査では、消費税10%への引き上げに対して、「実施すべき」「中止すべき」「延期すべき」「わからない」が4分の1ずつの回答でしたが、9月の調査では「中止すべき」と「延期すべき」の合計が、52%から66%に増え、特に延期を求める声が4カ月間で急増しました。

 以上のような事態に鑑み、私たちは次の点を政府に要望するものです。

 1、消費税率引き上げの条件である「経済状況の好転」(景気条項)を遵守し、家計や中小企業の指標など社会全体に好況感が行きわたるまでは、消費税の10%への引き上げを行わず、引き上げ時期および実施すべきかどうかについては再検討すること。

2014年11月7日
中小企業家同友会全国協議会
第46期第2回幹事会

「中小企業家しんぶん」 2014年 11月 25日号より