第4回 食品スーパーマーケット業界

食品スーパーのすべき事は内需拡大

(株)キクチ 代表取締役社長 菊地 逸夫(福島)

 昨年4月からの消費税の値上げによる影響で昨年3月には駆け込み需要があり、本年3月は全国売上平均97%(生鮮食品の好調が下支えとなる)、4月は105%で推移しています。2カ月トータルすると業界全体は微増です。客数は微減でありながら、一品単価・客単価の微増で売上が構成されています。

 昨年の反動を心配して、2月末より各メーカーが競って新商品を例年の倍の勢いで発表しました。その勢いが、消費の落ち込みを支えています。

 しかし、何と言っても、全国的に外税にした影響が大きいです。分かりやすく言えば、内税398円の弁当が、中身を少し変更しながらも、外税398円となったから。利益はどうであれ全国一斉の3%の値上げとなりました。

 実にこの事が、スーパーに限らず流通小売業・サービス業界の売上を押し上げました。

 しかし、それも1巡、原材料や為替の影響での4月からの製品の値上がりは始まりましたが、そこは薄利多売のスーパー業界、4月は競合店との価格の我慢比べが続いています。実質値上げが揃うのは5月中旬を見込んでいます。

 生活防衛は、家庭で食事を作ることで、かなりの部分は吸収できると思います。茶碗一杯のご飯は50円もしません。家庭で食事をする回数が、お弁当を作る回数が増えるだけで、生活防衛になります。

 地方スーパーの使命は、地域の「食の伝統」の継承、地域の生活者の健康増進にあると考えています。そして医食同源、食品スーパーは「健康生活」を売る時代が迫られます。「スーパーマーケットのお惣菜を食べ続けたら健康になった」を実現した企業だけが、将来生き残れるようになると思います。

 当社として、進むべきは前記の実現にほかなりません。新の時代から真の時代へ、企業も経営もそれが求められています。

 健康年齢が1歳伸びると医療費の税負担は数百億円も軽減になります。

 今後の一番の心配は次の消費税10%への増税です。計算が簡単で、買い控えが起きるばかりではありません。軽減税率の導入により、内税の復活も検討されています。

 そうなれば、過度な価格競争が起き、中小企業はひとたまりもありません。また、システムの導入に多額の経費が掛かります。そして今後消費税の変更の度に、コストを負担せざるをえません。

 だから外税のままで進むこと。声を大にしたいです。

フレスコキクチ

「中小企業家しんぶん」 2015年 5月 15日号より