社会的養護のもとにくらす子どもたちの自立を考える研究会 ソーシャルインクルージョン委員会【京都】

京都同友会

 全国で約3万人、京都府内13カ所の施設で約700人の子どもたちが親の死去、虐待、ネグレクト(育児放棄)、収監などで養育が受けられず、児童養護施設で暮らしています。18歳で行政の保護がなくなり、自立を求められます。焦った就職は早期離職を生み、その後は正規就労が困難となり「闇の世界」に身を投じる子どもも少なくありません。

 京都同友会ソーシャルインクルージョン委員会(今年度より障害者問題委員会を改称)では、児童養護施設の子どもたちに「お金ではなくて事業を通じて何かできることはないか」と、3年前から児童養護施設の子どもたちを対象にした適職探索支援を始めました。具体的には就労体験実習の受け入れを行っています。

 実習前には会員と子どもたちでミーティングを行い、希望職種を聞き出し、その後実習先を決定して実習を行います。実習期間は、中学生は3~4日、高校生はその企業の1週間と設定しています。

 実習終了後は、施設で実習先企業も参加しての発表会を行います。

 5月22日、その報告会が開催されました。今回は、就労体験実習の様子をこの活動の呼びかけ人である前川順氏(ジュンブライダル代表取締役、京都同友会会員)、児童養護施設側より澤亮太氏(児童福祉施設迦陵園・主任指導員)の2人から報告がありました。

 前川氏からは、「仕事を通じて人を育てるプロ」である中小企業経営者として何かサポートできることはないか考えたこと、澤氏からは、児童養護施設の実態や実習に行った子どもたちが変わっていく様子などが話されました。

 中小企業家として、目先の利益だけではなく未来に対して責任を持つこと、仕事を通じて人を育てるプロであるという自覚を改めて感じた、「適職」の前に「適人」が大切であるなどの感想が寄せられました。

 この取り組みについて、11月22~23日に開催される第18回障害者問題全国交流会(愛媛)の分科会で前川氏、澤氏が報告します。京都同友会では「関心のある方はぜひご参加いただき、未来に責任を持つことを一緒に考えてみませんか」と呼びかけています。

「中小企業家しんぶん」 2015年 7月 5日号より