地域の若い人を中小企業に~高校の先生との企業見学&経営者との懇談会【広島・呉支部】

 呉支部は1990年から共同求人活動を始めました。単に人を採るためだけでなく、先生方と手をとり合って、共に地域の若い人を支援する活動になっています。

 この行事は、求人難の時代に「なんとか新卒を採用したい!」という会員の熱い思いでスタートしました。最初のうちは「うちの生徒は中小企業には行かん」といわれていたそうです。それでも愚直に続けています。

 5月28日に開催され、参加者は述べで先生方が45名(見学32名。懇談会36名)。経営者が27名でした。

3コースに分かれて会員企業を見学

広島同友会

 企業見学は9時半から。訪問先は、Aコース:ハマダベンディングサービス(株)、(株)芝岡産業、(有)栄晃、グリーンピアせとうち、(株)サンヨー。Bコース:呉伸工業(株)、(株)丸二運送、(株)ケーシーエス、(株)しお家、(株)寺岡、ニッキフッコー(株)、(株)スタジオアイ。Cコース:(株)呉鉄工所、広機工(株)、(株)大下工業所、(株)中組(焼山食堂)、(株)オオサワ創研、ドゥクラフト土肥家具((株)土肥)、(株)やまもと住研でした。

 先生方の参加の目的は「勉強」、「情報交換」。アンケートには「具体的な仕事内容や求める人材を知ることができた」、「入社後の社員教育について詳しく知りたい」などが書かれていました。

 なにより「卒業生の様子が見れる」ことが楽しみであるようです。

早期退職させないために!

 懇談会は16時からクレイトンベイホテルで開催されました。

 今回は、呉港高等学校職業指導主任・藤原清隆氏に「早期退職させないために」というテーマで報告していただきました。

 藤原先生は、わが校を例に、生徒が就職先を決めるポイントは、「母親」「自宅から近い」「休みが多い」など。

 仕事を辞めるときは「友人の誘い」「疎外感」「家族」などから影響を受ける学校を休みがちな生徒や、本人の意思がない場合など、早期退職につながっています。生徒との会話不足や、アドバイス不足を感じるときがあります。

 企業見学などに参加させ、ミスマッチを減らそうとしていますが、こういった状況は起きています。

 学校として早期退職させないために、卒業生同士のネットワークの構築。卒業生を気にかけた会社訪問。私学ならではですが、卒業後、担任との密な連携を取れるようにしていきたい、と考えています。

 保護者から聞こえてくる就職に関する話は、実はわが子の成績を知らない。企業について子どもに質問されても答えられないことに悩んでいる。企業の経営状態や労働環境を知りたい、などです。

 最後に、学校・保護者・企業が顔と顔の見える関係になり若者の人生を共に支援していくことが、早期退職させないための一番の取り組みだと思います、と話されました。

笑顔のたえないグループ討論

 グループ討論のテーマは「若者を育てるとは?~若者の人生を共に支援しよう」。先生方がイキイキと話されていました。

 グループ討論の発表は3名の先生がされ、「企業と学校が連携する」、「目標を持たせ成功も失敗も経験させる」、「インターンシップの充実」、「何の為に働くのか教えていく」、という意見がありました。

地元の中小企業への期待

 この行事は、以前は求人・求職情報の交換の一環として行われていましたが、最近はそれに加えて、先生方と経営者に共通する「教育」というテーマで意見交換しています。先生方からは、この取り組みを、生徒や保護者にも知らせたい。呉には安心して生徒を送り出せる中小企業がたくさんある、という声がでています。

 呉支部の求人社員教育委員会には、市内の学校から、行事への参加依頼や、ときには先生が相談に来られたりもします。

 先生方と手をとり合って、共に地域の若い人を支援する活動に期待が集まっています。

『同友ひろしま』2015年7月号より転載

「中小企業家しんぶん」 2015年 9月 5日号より