肥満と和食

 8月17日「OECD34カ国の成人人口の18%が肥満であり、1位は米国35.3%、最下位が日本3.6%で和食がブームに」と報道されました。和食が海外で注目される理由としては、日本生活習慣病予防協会が2014年8月に「英国のサセックス大学のマーティン ユーマンズ教授(実験心理学)らは、うま味の主成分であるグルタミン酸とイノシン酸には、食品をおいしく感じさせ、食事の満足感を高める効果があることを発見した。うま味が満腹感を得やすくなり、食欲が抑えられることが分かりました」と報じ、うま味には食欲を抑制する効果があることが分かったからです。

 OECDの肥満比率国際比較(表1)を見ると、上位にはやはり欧米が集中しています。海外の日本食店急増について「2015年7月の農林水産省推計では、和食ブームと和食がユネスコ無形文化遺産登録による影響で店舗数は世界で2013年から2015年で1.6倍の8万8703店に。北米1.5倍の2万5100店、欧州1.9倍の1万551店、中国2.1倍の2万3130店とアジアが1.7倍の4万5315店」(表2)とアジアを中心に急増。肥満だけでなく経済成長に伴う「健康志向」と見ることができます。

 ここから今後の日本の食を売る2つの方向が見えてきます。乱獲防止のために魚の陸上での養殖技術の更なる向上と、軟水で育てた和食に合う日本の野菜の輸送工夫や冷凍技術の向上などが必要となりますが、1つは肥満度の高い国に「うま味を生かした食文化」を売り込むこと、そして2つ目に経済成長を望める国に「健康志向の食文化」を売り込む可能性の大きさが見えてくるようなデータです。

「中小企業家しんぶん」 2015年 9月 25日号より