不本意非正規雇用

 少子化と労働者不足が昨今大きな経営課題なっていると同時に、非正規雇用者数が1,956万人(2015年7月現在)と年々増加していることも大きな問題となっています。7月25日号でも紹介したように未婚比率が30~39歳の男性で正規雇用者は30.7%、対して非正規者雇用者では75.6%と倍以上になっており(表1)、当然子どもも産めず、少子化にもつながっています。非正規雇用数は1990年の1,225万人、労働人口の24.9%から2010年平均で1,763万人、34.4%に増加。さらに2014年には1,962万人、37.4%と740万人増加しています(正規3,278万人と430万人減)。

 厚生労働省が行った非正規雇用になった理由の調査では、1999年と2010年を比較して一番伸びたのが「正社員として働く会社がなかったから」が14%から22.5%、「専門的資格が生かせるから」が10.9%から18.6%、「自分の都合時間で働けるから」が32.8%から38.8%であり、大きく減少しているのが家計の補助・学費を得たい33.2%、通勤時間が短い25.2%、介護・育児と両立が24.5%となっています。そして総務省の最新調査では単一回答で「なぜ非正規の職員・従業員という雇用形態を選んだのか?」という質問に対して、2014年「正規の職員・従業員の仕事がないから」と答えた人が男性で630万人中160万人(全体の27.9%)。内25歳~34歳で43%、35~44歳で46.2%、45~54歳で48.1%と高い比率です。女性では1332万人中171万人(同13.6%)となり、1962万人中331万人(同18.1%)が不本意ながら非正規雇用を選んだ現状が浮き彫りになっています(表2)。この不本意の非正規雇用者を「人を生かす経営」で正規雇用できれば少子化防止、人手不足解消につながることが分かるデータです。

「中小企業家しんぶん」 2015年 10月 25日号より