エネルギーシフト推進へ 九州・沖縄の3同友会で学習会~村上敦氏を招き地域の仕事づくりを考える

 福岡・熊本・沖縄同友会は環境ジャーナリストの村上敦氏を招き、それぞれの企画のもと、エネルギーシフトの学習会を行いました。当日の様子を熊本同友会の学習会を中心に紹介します。

熊本同友会

 熊本同友会では、10月16日に第2回県例会を開催しました。県例会は、熊本同友会の活動方針に沿った経営課題を学ぶ場として今年度は3回開催を予定しています。当日は、ドイツ在住で環境ジャーナリストのOffice Murakamiの村上敦氏が「エネルギーシフトで地域が変わる、日本が変わる」をテーマに講演。10名のゲストを含む97名が参加しました。

 「エネルギーシフト」とは省エネルギー、地域暖房、再生可能エネルギーへの対応を進め、中小企業の仕事を増やして地域の雇用を増やし、持続可能な社会づくりへの取り組みを進めることです。

 しかし、エネルギーシフトと聞くと環境問題のみを連想し自社には関係ないと捉えがちです。そこで、例会を担当した地球環境委員会では、エネルギーシフトとは地域を活性化させるための考え方だと参加者に気づいてもらえるように、グループ長を対象とした勉強会を開催しました。

 勉強会では、グループ長が事前に村上氏の書籍である『kwh=¥』を読み、理解を深めたうえで意見交換を実施しました。その結果、この例会はエネルギーシフトを環境面だけでなく、地域の雇用や仕事づくりにつなげることを学び、中小企業としてどのようなことができるのかを考える場にすることを確認し、当日に臨みました。

 講演では、村上氏がデータを活用し、熊本県内の市町村がどの産業で成り立っているのかを説明し、地域外へ流出しているお金がいかに多いのかを訴えました。参加者は、地域内で投資し貨幣循環の仕組みをつくることで、そこに雇用が生まれ地域が活性化していくことを学びました。そして、地域が豊かになるために、今後自社や周辺の企業と協力し何に取り組んでいくべきなのかを考える機会となりました。

九州・沖縄で学習広がる

 村上氏は福岡・沖縄の2つの同友会でも講演しました。

 福岡同友会では10月22日にエネルギーシフト学習会を開催し、50名が参加しました。日本政策金融公庫との共催で行われ、地域内のエネルギーシフトを推進するよう呼びかけました。

 沖縄同友会は10月23日に沖縄県立武道館アリーナ棟で第39回沖縄の産業まつりステージイベントとして学習会を開催し、80名が参加しました。那覇市地球温暖化対策協議会の共催、沖縄総合事務局経済産業部と沖縄県の後援事業として地域の連携で運動を広げようとしています。一般の参加者がステージ前で立ち止まり耳を傾ける場面もあり、エネルギーシフトへの関心の高さがうかがえるものとなりました。

 村上氏は1月27日に宮崎同友会が開催する新春経営者交流会でも講演を行います。九州・沖縄でのエネルギーシフトの学習と実践が広がりはじめています。

「中小企業家しんぶん」 2015年 11月 25日号より