エネルギーシフトは地域に経済力をとり戻させるーエネルギーシフト勉強会~全3回で開催【大阪】

大阪同友会

 大阪同友会環境部会では「エネルギーシフトは地域に経済力を取り戻させる」をテーマに千葉恒久弁護士を講師にエネルギーシフト勉強会を行い25名が参加しました。勉強会を受けて、大阪同友会環境部会副部会長の赤津加奈美氏のまとめを紹介します。

 1986年のチェルノブイリ事故で、約1500メートル離れたドイツ南部に高濃度のセシウム137が降り注ぎました。

 それまで原発を推進してきた旧西ドイツでは、反原発の世論が一気に盛り上がりました。しかし、原発に代わる代替エネルギーは未だ育っていませんでした。1990年、たった5条の小さな法律が成立しました。水力、風力、太陽光による発電の最低買取価格が決められました。それから数年後、北ドイツで、農業に行き詰っていた農民らが次々と風車を立て、風力発電ブームが巻き起こったのです。ところが、既存電力業界は一斉にその小さな法律を攻撃し、金融界が動揺したため、風車ブームは萎みかけてしまいました。

 2000年、再生エネルギーの買取コストを電気料金に広く薄く上乗せするアーヘンモデルの成功に押され、再生エネルギー電力の接続と買取の優先権を定めた法律が成立しました。

 これがその後のドイツのエネルギーシフトを支えていくことになるのですが、長い産みの苦しみの歴史があったのです。

 紆余曲折ありながらもドイツのエネルギーシフトを力強く推進している原動力は次の4つです。

 1つめは、市民(地域の中小企業も含みます)が自らの手で事業を行い、地域住民の光熱費が地域内に支払われるようになること。

 2つめは、地域に雇用が生み出されていること。

 3つめは、小規模施設重視の制度設計(市民事業優先の発想から)と立地選定を助ける自治体による土地利用計画。

 4つめは、エネルギー事業を自治体が担っていることです。

 日本のマスコミは、ドイツの再生エネルギーは失敗、としきりに宣伝していますが、大手電力会社E・Onは昨年末、原発や化石燃料発電を不採算として切り出し、再生エネルギーを事業の柱の1つにするという経営改革方針を発表したそうです。

大阪同友会環境部会副部会長 赤津 加奈美

 大阪同友会は全3回のエネルギーシフト勉強会を予定しています。次回は11月6日に松原弘直・認定NPO法人環境エネルギー政策研究所理事を講師に招き開催する予定です。

「中小企業家しんぶん」 2015年 11月 5日号より