2016年の経済成長予測

 国際通貨基金(IMF)は10月に世界の2016年成長率を3.6%と引き下げました。中国減速を背景に新興途上国も4.5%成長と減速。先進国では米国を2.8%成長とけん引役と見ており、先進国は2.2%成長と予測。アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は12月利上げ開始で16年末金利1.38%予想の影響は含まず、2016年の米国は2.4%成長と予測しました。資源国はブラジル△1.0%やロシア△0.6などマイナス成長となり、中国の成長率は6.3%と減速を予想しています。ユーロ圏については、欧州委員会が11月に2016年予想を1.8%と0.1下方修正しました。11月の経済協力開発機構(OECD)の経済見通しでは、9月に続いて2016年世界経済成長率を3.3%と引き下げ、夏以降の中国経済減速で先行き不透明感強まると発表。12月、内閣府の「世界経済の潮流Ⅱ」では「米欧経済の持ち直しで世界経済は緩やかな回復が続く」との見通し。ただ中国経済の大幅な減速や米国の利上げが新興国経済に波及する懸念があると指摘。「世界経済の下ぶれ要因となるリスクがある」との認識です。またアジア開発銀行は、中国減速と主要先進国における景気回復の遅れが相まって、アジア途上国45カ国の2016年GDP伸び率は、6.0%に引き下げています(表1)。過去10年間、新興国が先進国の穴を埋め世界経済をけん引していた潮流が転換する年になるとの予測も出されています。

 日本の2016年の成長見通しは、設備投資が2015年の1.4から回復し2016年3.4%増と見込まれ、中国減速の影響を受けながらも緩やかに回復との見通しが多く、2016年日本の成長予想では、IMFは中国減速で2016年1.0%と0.2引き下げました。OECDも同じく1.0%に引き下げ、2017年はさらに0.5%成長と見込んでいます。日本の24の民間機関は2016年平均では実質1.3%成長と予想しています(表2)。全ての予想を総合すると1.2%前後の成長が予想されます。消費増税や金融政策の転換などが予想される2017年問題に備えて手を打つ年になります。

「中小企業家しんぶん」 2015年 12月 25日号より