各地でエネルギーシフト学習会

 中同協は「エネルギーシフト」の学習と実践を重点方針の1つとして呼びかけ、各同友会ではエネルギーシフトの学習会が行われています。富山同友会と京都同友会で行われた学習会を紹介します。

自然エネルギーの利活用が生み出す新しい仕事づくり【富山】

富山同友会

新しい仕事づくり協議会主催

 今なぜエネルギーシフトなのか?どう捉えて何から実践すればよいのか?

 富山同友会は、11月17日に新産業創造・環境・障害者問題の3部会で構成する、新しい仕事づくり協議会の主催で、初めてエネルギーシフト学習会と見学会を実施しました。

 学習会は、大友詔雄氏((株)NERC代表取締役センター長・北海道同友会会員)を講師に招き、「自然エネルギーの利活用が生み出す新しい仕事づくり~エネルギーシフトで切り拓く地域再生」のテーマで報告がありました。静岡同友会の杉村征郎・相談役理事、石川同友会の2名も含めて30名余りが参加しました。

 これまで環境問題に関する取り組みとしては、環境部会で理事を中心に自社の環境経営を報告するなどが

中心でしたが、「大切だと思うが、どう考えて実践すればいいのかが見えない」という意見が多く、全体の課題にならないというのが現状でした。

 今回の学習会では、社会のあり方にまで掘り下げた問題提起、エネルギー問題や具体的な取り組み事例が報告されました。

 グループ討論では、参加者の理解の程度は異なるものの、自社や地域の課題と受け止めて、富山にあるものを生かして何かできないか?など活発に意見が交わされていました。最後に、学習継続の重要性と企業での実践を広げ、仕事づくりと地域循環型の経済へ向けた対応の必要性を確認し合いました。

 学習会に先立って、富山県で初の木質バイオマス発電施設「(株)グリーンエネルギー北陸」の見学会を実施し、大友氏と杉村氏も参加しました。専務取締役の山本光重氏の報告後、参加者から設備や稼働状況などについて積極的に質問が出されていました。

今、エネルギーシフトが熱い【京都・東山支部例会】

京都同友会

 京都同友会東山支部は、11月20日、「今、エネルギーシフトが熱い」と題し例会を開催しました。

 報告者の河村泰三氏(東山支部長・京都電工(株)代表取締役)は、この7月に岩手で開催された中同協第47回定時総会の第1分科会「エネルギーシフトの学習と実践を」に参加し、大いに触発されました。もとより同社は「街の電気屋さん」として省エネ事業に取りくんでいて、この総会参加を機にさらに周りの会員にエネルギーシフトについての考えを広げたいと報告しました。

 報告では、中同協が発行している冊子『エネルギーシフトが新しい経済社会をつくる』をまとめ、パワーポイントにして解説。報告内容を列挙すると、「エネルギーシフトとは何か」から始まり、エネルギーシフトの2つの考え方、「同友エコ」について、エネルギーシフトの5つの実践の視点、中小企業家エネルギー宣言案など、同友会のめざすエネルギーシフトについて分かりやすい説明がありました。

 また、日本は海に囲まれているので、洋上風力発電など再生可能エネルギーのポテンシャルが63%もあるという情報も紹介(ちなみにアメリカは30%台)。そして、現在の京都府の再生可能エネルギーの導入促進に関する条例や京都市の助成制度なども紹介し、それらを活用すれば費用的にも無理なく省エネができると話しました。

 報告の最後に、自分たちが取り組めることを考えてみようと次の3点を提示。(1)省エネの輪を広げる。(2)省エネ機器への更新を検討してみる。(3)自立型エネルギー設備導入を検討してみる。これらを同友会のネットワークを活用して広げられないかとの問題提起で締めくくりました。

 グループ討論では、電力自由化への対応、省エネなどの課題が出され、まず自分たちの意識を変えていくことが大切であると話し合われました。

「中小企業家しんぶん」 2015年 12月 25日号より