モノより文化輸出の時代

 年末年始の気になるデータから、14年度公的年金で「受給者数6988万人で2.8%増。支払う方の加入者6713万人と0.1%減」と貰う人数が払う人数を逆転している高齢化社会データ。学習費調査2015年で「幼稚園から高校までの15年間で、全て私立だと1770万円、全て公立だと523万円。2年前からそれぞれ93万円と23万円の増加」とこれに大学費用400万円以上を足すと、子どもを1人以上育てることは難しくなることが分かる少子化につながるデータ。ダブルケアについて「子育てと介護の同時進行のダブルケア経験は8%で、今後直面が14%と母親が回答」との恐ろしいデータもありました。

 中でも一番興味深いデータが、中国減速の影響です。古紙輸出価格が鉄より高くなり「16年1月積み価格、段ボール古紙で1キロ18.1円、鉄スクラップ1キロ15.7円。新聞古紙1キロ22円。雑誌古紙1キロ17.4円」と報道。2013年をピークに中国の鉄生産増加に対しての需要減が2014年から2015年にかけて明らかに価格低下を起こしていることが読み取れます(表1)。また日本の輸出では、これだけ円安になっても輸出数量が増えない中で、紙輸出は「1~11月で11.8%増92万3600トンに。パキスタン2.5倍の1.6万トン、ミャンマー5倍の5600トン、サウジアラビア3倍の6300トン、英国1.5倍の4300トン、ルーマニア2.5倍の2900トン」と高水準です。この数年間を比較し、貿易数量で見ると、日本の輸出はリーマンショック後減り続けている中、紙の輸出は2010年ピークで落ち込むも2012年以降は回復を続けています(表2)。段ボールは製造業への対応が主ですが、それ以外の紙は文化を支えています。つまりもはや日本の輸出の道は「モノ」でなく「文化」輸出に関連するものにしたほうが世界に貢献できることが暗示されるデータです。

「中小企業家しんぶん」 2016年 1月 25日号より