REES 震災から5年~100年後の未来への提案(3)

REES記録集 座談会

 本紙2月5日号からREES記録集座談会の概要を掲載しています。第3回として鋤柄・中同協会長と瓜田・中同協事務局員の報告を紹介します。

(前号はこちら)

(株)エステム 取締役名誉会長【中同協】鋤柄 修氏

同友会の絆で震災を「風化」させない

 中同協としても震災復興に取り組もうと、まずは支援物資と義援金の活動を展開しました。行動力と機動力を発揮して新潟・山形・秋田などを経由して全国からの支援物資を送る日本海ルートをつくり、いち早く被災地に届けることができました。同友会の絆は強いと感じました。

 被災地視察も実施しています。東日本大震災から2年、中同協では2012年11月に、東日本大震災復興推進本部研究グループ「REES」を立ち上げました。大震災の経験を風化させず、政策的対応を促進させ、原発・エネルギー問題を深めるための活動を始めました。震災から時が経つにつれて、全国でも風化の傾向がみられました。そのため、中同協ではREESの活動とともに、東日本大震災復興シンポジウムを2013年3月に福島、2014年3月に岩手、2015年3月に宮城で開催し、東日本大震災を風化させず、復興にむけて同友会運動として取り組むことの重要性を伝える役割を果たしました。

 また2013年10月にドイツ・オーストリア視察を実施。エネルギーシフトの取り組みを学びました。そして、「エネルギーシフト」と「中小企業家エネルギー宣言案(討議資料)」の学習と実践を進めることを提起しています。加えて近年、自然災害が頻発しています。この自然災害への対応・対策も、東日本大震災の教訓を生かして、同友会で検討する必要が出てきていると感じます。

中同協事務局 瓜田 靖氏

同友会だからこそできた震災5年の4つの教訓

 震災から5年目にあたり、被災地の会員企業がどう震災に立ち向かったのかを見てきました。震災や原発事故によって被害をうけましたが、この状況というのは10年先、20年先にくる将来の課題が震災被害によっていきなり目の前の課題となったということだと思います。それに対して経営者として覚醒があったのではないかと考えています。同友会だからこそできたという教訓が4点あるのではないかと思います。

 第1に、同友会の絆、ネットワークが非常に強いということ。連絡を取りあい、励ましあい、会員同士の絆が深まり、いきいきと元気に取り組んでいます。

 第2に、経営理念が深化したのではないかと思います。震災前の経営理念はあいまいな表現だったものが、震災後は余計なものをそぎ落とし、より本質的で魂の入った経営理念になっています。

 第3は、中小企業振興基本条例があげられます。被災した自治体でも相次いで条例が制定。いわき市や福島市などは震災復興が条例に位置づけられ、条例をもとに復興していこうという取り組みがでています。

 第4は、エネルギーシフトです。同友会でも取り組んでいますが、企業の経営実践にエネルギーシフトを取り入れています。

(次号に続く)

「中小企業家しんぶん」 2016年 2月 25日号より