訪日観光客はどこから

 2015年の訪日外国人観光客数について「47%増1973万人と過去最多、3年連続で過去最高を更新。円安とビザの要件緩和が原因。旅行消費額も前年比7割増3兆4771億円と電子部品輸出額並みに」(毎日新聞)と報道されました。訪日10万人以上の国で見ると(表1)、1位中国107%増499万人、2位韓国45%増400万人、3位台湾30%増367万人、4位香港64%増152万人、5位米国15%増103万人、6位タイ、7位にオーストラリア、8位シンガポール、9位マレーシア、10位フィリピンで、圧倒的にアジアからの訪日観光客が多いことが見て取れます。この中国の「爆買い」を象徴としたインバウンド効果は日本経済に大きな影響を与えています。1月に東京で行われた中国問題での懇談会で植田先生から、「爆買いする人は日本に飽きたら来なくなる人たちなので、1~2回は来ますが3~4回とは来ないと見るべき。現在、それよりもう少し収入が下の層の人の訪日が増えています。この人たちをリピーターにする工夫がインバウンドにとって大事です」との指摘がありました。

 2015年日本の輸出相手国上位20カ国(表2)で見ると、1位の米国は別にしても上位6カ国までは訪日外国人客数の順位と同じ国であり、輸出上位で観光客が少ないのはオランダ、メキシコ、UAE、サウジアラビアの資源国。観光客が多いのに輸出が少ないのは豪州とイタリアとなっています。つまり輸出上位国からの観光客が増えているということは、メイドインジャパンの良さがあるということの相関関係が示されているデータと言えます。本当の日本の良さを出していかないと観光客も来なくなるという意味にも取れる関係でした。

「中小企業家しんぶん」 2016年 2月 25日号より