若者の就職観・労働観を学ぶ~共同求人活動に関わる研修会【京都】

京都同友会

 京都同友会は、3月23日に京都府中小企業会館において、第2回採用活動に関わる研修会を開催しました。法政大学キャリアデザイン学部教授の児美川孝一郎氏がに「今どきの学生の就職観・労働観をめぐって」というテーマで、若者の雇用状況、育ってきた環境、価値観や中小企業への期待などを講演しました。

 2015年度から京都同友会では、社員共育・求人委員会のもとで共同求人活動を再開しました。今回の研修はこれから共同求人活動を開始するにあたり、今の若者の可能性と企業づくりを学ぶ研修会として開催しました。

 1990年代以降の構造改革時期で終身雇用が揺らぎ、非正規雇用が増大し、さらには社会保障制度が弱体化し、貧困が拡大したような不安定な社会状態の中で今日の若者は育ってきています。彼らは将来への閉塞感やあきらめが強く、将来のビジョンも描けず、今を楽しくという考え方が多数を占めています。さらに、奨学金受給率は50%を越えているなど、経済的に厳しい状態で学んでいるにもかかわらず、興味を持てる授業より簡単に単位を取得できる授業を選択する事に見られるように、主体的に学ぶ学生は減少しています。そのため学生の質の低下が進んでいます。

 児美川教授が「大卒就職で、継続的に働いている人数」を全体が100人としてシミュレーションしたところ、41人という結果になり、大学を卒業して働き続けるということさえも困難になってきています。

 そうしたなかでも「人のためになる仕事をしたい」という学生は増えてきています。そうした若者の可能性に対し、児美川教授は、若者に仕事の意味を伝え、自分たちの働く意義を見いだせるように企業側の歩み寄りが必要だということ、そしてこれからの成熟社会において、働き方や人生観がさまざまにあふれていく中で、中小企業の柔軟な対応力を発揮してほしいと提起しました。

 社員と経営者の顔が見える中小企業だからこそ、一人ひとりと向き合い、育てていける企業づくりの大切さを改めて確認できた研修会でした。

「中小企業家しんぶん」 2016年 4月 15日号より