徳島同友会 新任教員の初任者研修(3) 企業等研修を行う意味

企業変革の可能性

徳島同友会

 企業等研修についてのまとめとして、企業側のメリットや同友会運動との関わり方について考えてみたいと思います。

 学校の教員を企業に受け入れる企業等研修は、インターンシップの一形態です。企業としてのメリットは、定期採用と企業等研修と組み合わせることで生じるのではないでしょうか。共同求人委員会では「定期採用」の実践をすすめています。3年ごとに1人定期採用する企業であれば、採用しない2年間はインターンシップを行えばよいと考えます。

 採用しない2年間にまったく何もしないより、たとえ短期間でもインターンシップの受け入れを行うことは、「社員共育」の観点からも大切です。また、予備知識のない視点で職場環境や提供する商品・サービスについて意見や感想を提供してもらえる機会にもなります。特に教員の場合は、すでに就業している大人であり、児童・生徒を教える立場でもあるので、就業経験がない人を受け入れるのとは違った意見を聞くことができます。

 インターンシップの受け入れは企業の「社会貢献」だとする意見もあります。それも大切なことですが、実践企業が「人を育てる」という同じ目線をもち、インターンシップを受ける人・送り出す教員・受け入れる社員・経営者とのつながりができることが大切です。「社員共育」「定期採用」といった企業の維持発展の礎になる社会関係資本ができることが重要なのです。また、採用とは関係がない人々とも短期間ながら関わりあうことでお互いに学び合えます。教員の企業等研修は「共育」の最たるものでしょう。

 その関わりあいとして今年わが社で試みようと思っているのは、企業変革支援プログラムの企業プロフィールシートや各項目の採点を教員の皆さんに社内でヒアリングし、記入してもらうことです。教員という外部視点でわが社がどう映るか興味深い。また私や社員が記入・採点したものと比較してみて、経営計画の策定に生かしてみたい。まだ明確な結果は出ていませんが、企業を変革する可能性に満ちています。

 最後に今回の連載を通じて2年間の良い振り返りになりました。皆様、改めてお礼申し上げます。

徳島同友会理事 (有)小田商店 代表取締役 小田 大輔

「中小企業家しんぶん」 2016年 6月 15日号より