地域金融機関の地域貢献を後押しする施策について金融庁と懇談【中同協】

中同協・金融庁と懇談

 6月8日、金融庁と中同協との懇談会を開催しました。

 金融庁が、金融機関の地域への貢献を後押しするための新しい取り組みを展開していることを受けて、中同協から懇談を申し入れて実現したものです。8同友会と中同協から19名が参加し、日下智晴・金融庁監督局総務課地域金融企画室長らと懇談しました。

 日下氏によると、今回の取り組みは、かつて各金融機関の審査部門が、金融庁の指導の下、自らの経営の健全性を過度に追求したことが貸し渋り・貸しはがしを招いた経過をふまえ、そこからの転換をはかるため、フロント部門(各支店の営業部門)が企業の事業性を評価して金融仲介できるよう、客観的な指標(ベンチマーク)を整備するというものです。

 同友会が2000年代に取り組んだ「金融アセスメント法制定運動」にも触れ、「いまの金融庁の立場は中同協に近い」と説明がありました。 具体的には、全国751社にヒアリング、同時に小規模企業を中心に2460社にアンケートを実施しており、その結果、「企業は、金利ではなく、事業に対する理解を金融機関に求めていることが見えた。これがいま金融庁の合言葉になっている(日下氏)」として、今年の各地財務局長と金融機関トップとの懇談会は、以前のように「金融機関の健全性」をテーマにするのではなく、企業ヒアリング結果で見えた企業のニーズをテーマにしているとのことでした。

 また企業ヒアリングで評判の良かった金融機関に注目すると、(1)企業のニーズを聞き出す独自の仕組み・フォーマットを持っている、(2)金融機関が行った事業性評価を企業に示している、(3)フロント部門を本部が全面的にバックアップする仕組みがあることが見えたことから、それらを受けてベンチマークとして客観的な指標にまとめ、次年度以降、各金融機関が自己診断を通じて、取り組みの内容が分かるようにしていくということです。

 参加者からは、「各金融機関にどのように浸透をはかりますか」、「メガバンクは対象にならないのですか」など多くの質問が出され、日下氏から1つひとつ丁寧な回答がありました。

 今回の金融庁の取り組みは、2000年代の金融アセスメント法制定運動で全国の同友会が100万筆以上の国会請願署名を集めるなどの取り組みの貴重な成果といえます。この金融庁の取り組みの詳細は6月末に発行予定の金融庁の「金融レポート」に掲載されるとのことです。

「中小企業家しんぶん」 2016年 6月 25日号より