【熊本地震】大分の観光地は元気に営業しています

佐藤・大分同友会代表理事

 4月14日に発生した熊本地震から3カ月が経ちました。熊本地震は、熊本県のみならず九州全体に大きな影響を及ぼしました。大分県の地震の影響について佐藤貞一・大分同友会代表理事の声を紹介します。

 今回の熊本地震は、余震が長期間に渡って続くとともに大分県の一部でも震度6弱の地震が起きました。直接的、間接的に広範囲の被害と影響が懸念され、この地震に伴う大分同友会の会員企業の経営への影響を把握するために地震が起きた4月16日から間もない18~25日に会員企業に熊本地震緊急アンケートを実施しました。

 会員企業556社のうち176社(回答率31・65%)の回答がありました。建物や商品の損傷など直接被害について「あった」と答えたのは24社(13・6%)でした。取引先や関係先の被害による間接的な影響は「ある」が71社(40・3%)に対して、「ない」が105社(59・7%)でした。(1)直接被害は少なかった一方、間接的な影響がある企業は40%に上る(2)観光産業への風評被害による売上、来場者減の損失が大きい(3)物流、建設関係にも納期遅れなど影響あり(4)道路被害による各産業への影響あり、以上が調査結果の特徴でした。

 具体的な影響としては観光・宿泊客のキャンセルによる減少、取引先の被災や交通網の寸断による商品、資材の入荷遅れなど。建設関連では復興需要を見越した資材の値上げ、災害対応優先による通常工事の遅れ、復旧工事の増加との記述がありました。観光業では風評被害の長期化に対する懸念が目立ちました。

 会員企業の湯布院や別府の旅館、施設などで壁にひび割れ、塀の倒壊、屋根の損傷などの被害がでました。折しもゴールデンウィークのかき入れ時直前に地震が起きたので、何とか仮修理や整理を行い、対応したところが大部分です。被害が無くてもキャンセルによる損失が何百万円~何千万円になっています。またその余波で大分市や日田市、他の観光地も軒並みホテル・旅館はキャンセルが発生し寂しい状況です。食材やリネンなど納入業者や土産物店も売上が7割減やゼロが続くなど連鎖的に影響が出ています。観光業の裾野の広さと風評被害の大きさを改めて、皆が感じています。

 大分の観光地は元気に営業していますので、ぜひ、現地に足を運び地域に根付いてがんばっている企業を見て、感じて、泊まっていただければ幸いです。

大分同友会代表理事 佐藤 貞一

「中小企業家しんぶん」 2016年 7月 15日号より