【公平な税制をめざして】第1回 税金の大原則は公平性、「能力に応じた負担」

日本国憲法に基づいた「平等」の考え方で

 中同協九州・沖縄ブロックでは経営者のみならず社員やその家族と一緒に税制のことを考えてほしいとリーフレット「公平な税制をめざして」を作成しました(本紙7月15日号既報)。同ブロックでは、「ぜひこの資料をもとに話しあってみましょう」とその活用を呼びかけています。リーフレットの内容について連載で紹介します。

 企業の社会的使命、役割の根幹は「納税」と「雇用」です。私たち中小企業家同友会は、「よい会社をつくろう、よい経営者になろう、よい経営環境をつくろう」という目的の実現のために、「人を生かす経営」を通じた企業づくりを進めています。雇用を守り、適正な利益を得て納税し、企業活動を通じて社会に貢献していこうと考えています。

 だからこそ、税制は公平であってほしいと願っています。この間、税制について学習を進める中で、税制本来のあり方は、「能力に応じた負担」が原則であること、その根源は、日本国憲法に基づいていることを学びました。

 日本国民の納税の義務については日本国憲法の第30条に定められていますが、その前提として第14条には「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」とあります。税金については、形式的な平等ではなく実質的な平等のことをいっています。また、「第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」には、最低限度の生活費には課税してはならないという意味があります。

 このような実質的な税の平等についての考え方はフランスの人権宣言やドイツのワイマール憲法から継承されたもので、「支払い能力に応じた負担」が原則です。しかし、現在の日本では、この憲法に反して大金持ちや大企業を優遇した税制となってしまっています。

*リーフレット福岡同友会ホームページ「同友会のお知らせ」からダウンロードください。
http://www.fukuoka.doyu

「中小企業家しんぶん」 2016年 8月 5日号より