幸せのリーダーシップを発揮してよりよい地域を~(株)EVENTOS 代表取締役 川中 英章氏(広島)

【採用と教育】第6回

(株)EVENTOS代表取締役 川中英章氏

「採用と教育」をテーマに各社の取り組みを紹介する連載の第6回。今回は、(株)EVENTOS代表取締役の川中英章氏(広島同友会会員)に、チャレンジする人を育てる企業づくりについて聞きました。

 大学を卒業後、大学の職員として勤務するも、もともと独立志向が強く、この職場では自分の情熱を発揮させてくれる「やり場」がない、そのことに不満を募らせ3年半で退職しました。

 そして、1987年26歳のときに若い情熱を思いきりぶつける事ができる仕事がしたい、若い人の能力を引き出せるやりがいのある会社を!との思いでケータリング事業を起業しました。スタッフは同業他社から引き抜き、ケータリングのほかにワイン居酒屋をオープンさせるなど意欲的に拡大していきました。次々と新しい店舗をオープンさせ、その採用は相変わらずほかのホテルからの引き抜きです。

 しかし、こんなやり方ではうまくいくはずがありません。債務がかさみ、社内の人間関係もギクシャクしていき破綻しました。

 その後は収益のある事業に絞り、再興をはかることにしました。そんなときに同友会が求人活動をやっていると聞き、人を採るために入会しました。

新卒採用に挑戦

 組織変革を進めるために共同求人活動に参加し、新卒採用に踏み切りました。2008年には6名を採用しましたが、新入社員を迎える体制の不備や人を育てる風土がなく全員がやめてしまいました。

 また、求人活動をする中で飲食業界の地位が社会的に低いことも実感し、経営指針を見直し、社員と一緒にビジョン作成に取り組みました。これをきっかけに社員からも意見が出るようになり、経営指針も深化していきました。

 わが社の人事理念の「評価すべき良い人」とは、自社と自身の周りの幸せを願い、常に現状に疑問を持ち、「より良い人」を求め続ける人、つまり「チャレンジする人」です。チャレンジせずに成果を出す人よりもチャレンジして失敗した人を、より高く評価します。失敗を恐れず挑戦できるようにわが社では「空振りの三振」を全力で応援します。そのかわり、何もしない「見逃し三振」はダメです。

 「攻め」の姿勢で、未知の世界を切り拓いていく夢と覚悟を持った人材、これがわが社の人事評価基準です。

(株)EVENTOSが地域・業界を元気に

 ビジョン作成の中で生まれた「農村活性化事業」は2010年からスタートしました。

 「FromFarm to Table」をコンセプトに、生産から加工、調理までを一貫して手掛ける「食のエンターテイメント事業」を進めています。わが社は経営理念に「新鮮でワクワクする『食の環境創り』に貢献し、『誇りと豊かさ』を育みます」と掲げています。飲食業は楽しい仕事です。

 入社してくれる社員さんにもそう感じてもらい、「より良い」をめざす優秀な人材が参画してくれる事業を実現して幸せのリーダーシップを発揮したい、そうすることが地域を、そして地域の業界を元気にすることにつながると考えています。

「中小企業家しんぶん」 2016年 9月 5日号より