【同友会景況調査(DOR)117号(2016年7~9月期)速報発表】一部で改善するも、中小企業景気の不安定感ぬぐえず

改善、横ばい、悪化が入り乱れ、先行き楽観許さず

 同友会景況調査の速報が発表されました。

 足元の景況感を示す業況水準DI(「良い」―「悪い」割合)は△6→△4と2ポイント改善した一方、前年同期比の業況判断DI(「好転」―「悪化」割合)が△5→△5、経常利益DI(「増加」―「減少」割合)は△3→△3と横ばい、売上高DI(「増加」―「減少」割合)は△3→△6と3ポイント悪化と、改善、横ばい、悪化が入り乱れ、景気の不安定感がぬぐえません(図)。

 次期の業況判断DIは△5→1と6ポイント改善の見通しで景気回復への期待が高まりますが、今年の台風・豪雨の影響は多様な産業に影響を及ぼすことが危惧されます。さらにこの間3期連続で「次期見通し」よりも低い結果になっていることから予断を許しません。

 さらなる景気悪化も想定し、リスクに対する具体的な対応を準備することが求められています。

 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が△6→△11と5ポイント悪化したことに加え、製造業も低迷しており景気回復のけん引役が不在です。

 企業規模別では100人以上が7→17と10ポイント跳躍した一方、それより小さい規模はついてきておらず規模間の景気格差が明確です。

 業種、地域、規模間のまだら模様からも景気の不安定感が現れています。

 速報の詳細は中同協ホームページに掲載されています。

https://www.doyu.jp/research/dor/

〈調査要項〉
調査時点:2016年9月1日~9月15日
回答企業:対象企業2,325社のうち1010社の回答(回答数43.4%)
※業況判断DI(デフュージョン・インデックス)
 好転企業が悪化企業を上回っている割合(%)をさす。DIが100に近いほど、好転企業の割合が高いことを意味し、DIが-100に近いほど、悪化企業の割合が高いことを意味している。好転、悪化が同数の場合は、DIは0となる。ほかの指標のDIも同じ考え方で作成されている。各水準DI以外、本文中特に断りがないものは前年同期比。

「中小企業家しんぶん」 2016年 10月 15日号より