環境戦略、再エネ特措法について学習【中同協地球環境委員会】

中同協地球環境委員会

 11月4日に愛知で行われた中同協地球環境委員会では、同友エコの審査に続き学習会を実施しました。

 竹内恒夫・名古屋大学大学院環境学研究科教授から「ポストエコ時代の環境戦略」をテーマに講演。竹内氏は「日本は主要な先進国の中でもCO2排出量が増えているにもかかわらず、日本の環境問題の有識者でも『環境危機意識』がなくなってきています。ドイツはCO2を削減しながら、GDPを伸ばしているにも関わらず、日本はCO2排出量とGDPが変わっていません。やはり、重要なことはエネルギーの地産地消であり、レジリエントの考え方です」と述べ、「欧州ではCO2削減や気候変動の適応策に関し『市長誓約』の取り組みがあり、現在6749の自治体の市長が表明しています。日本版として『首長誓約』を推進し、2015年12月に西三河地域の5市長が第1号として誓約し、2016年8月には長野県高山村村長が第2号として誓約しました。この取り組みを広げていきたい」と話しました。

 次に、赤津加奈美・中同協地球環境副委員長より「再エネ特措法の問題やエネルギーシフト関連の政策提言にむけて」をテーマに報告。固定価格買取制度(FIT)は、各国とも再生可能エネルギーの進展に大きな役割を果たし、日本でもFIT導入後の再エネ導入が飛躍的な伸びを示しています。太陽光に偏重してきた問題はあるものの、九州電力ショックからFITへの逆風が始まり、2016年5月FIT改正法が成立、2017年4月に施行されます。この改正は、接続義務がFIT法から削除され、電気事業法に拠るとされたことで、再エネの優先接続義務を後退させました。その上で、赤津氏は「これは再エネを優先接続・優先給電する世界的流れに逆行しています。ドイツ再エネ法は上位系統の増強を電気事業者の法定義務としています。FITに対する逆風にはきちんと声を上げる必要があります。今後同友会として、エネルギーシフト推進の政策提言が重要」と呼びかけました。

 その後の参加者との意見交換から、今後エネルギー関係の政策の要望提言について委員会で議論していくこと、経営指針の運動に環境経営の考え方や環境方針などを盛り込み実践を進めるよう各同友会に働きかけることなどを確認し、閉会しました。

「中小企業家しんぶん」 2016年 12月 5日号より