経営指針で会社全体の取り組みへ~経営指針と環境経営への取り組み・関心を調査【広島】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】67

 広島同友会は2010年に地球環境委員会を設立して以来、地球環境問題に関するアンケートを実施しています。7月に行った地球環境問題アンケート2016は、エコアクション21の自己チェックリストにそって27の設問項目を作成し、設問そのものがエコ活動へのヒントになるつくりになっています。

 設問は環境問題に関する意識調査や実際のエコ活動などの項目になっており、今回の回答者数は254名、回答率は9・7%でした。回答者の業種構成は、農林水産林業1%、建設業20%、製造業23%、情報・流通・商業13%、サービス業43%でした。

取り組み・関心とも横ばい

 環境問題に対する対策は、83%が必要だと感じており、昨年とほぼ横ばいです。事業活動に関する項目も平均17項目と横ばいでした。

指針の有無による格差

 昨年のアンケートで、企業規模が大きいほど成果が出ているという傾向があり、「社員数が多い会社ほど方針や具体的な目標が明確な傾向があり、そのため実績を確認しやすいのでは」という推論を立てました。そこで今回は設問に経営指針の有無を問い、クロスチェックを行いました。

 結果、経営指針を作成している企業ほど環境経営への実践に取り組んでいることがわかりました(図)。経営指針の有無で取り組み項目が平均で5項目の差(あり=18項目、なし=13項目)があり、取り組みも10ポイント差、効果ありとする率は約1・8倍になっています。

 設備の導入など、経営者の決断でできる対策では大きな差がある項目は少ないのですが、ゴミの分別の徹底や、購入物、省エネの取り組みなど、日常の社員の協力が必要な部分で大きな差が出ています(例:ゴミの分別徹底は、あり=65%、なし=14%)

まずは関心を高めること

 昨年のCOP21で採択されたパリ協定は、多くの国々が批准し、11月に発効しました。すべての国が「環境問題は待ったなし」の状況であることを確認した成果です。

 まず一人ひとり、1社1社で何ができるのか、考え、具体的に行動することが大事です。その際に、目標数値を設定し、その実現のために社員の協力を得て、工夫をすることがポイントです。

 地球環境委員会は、今後さらにアンケートの検討を進め、着手容易なものなどを整理し、再提案していきたいと考えています。

「中小企業家しんぶん」 2016年 12月 5日号より