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「エネルギーシフト」へのアプローチ(岩手編)(4)

私たちがやってみたこと、将来に向かって展望していること

付加価値は社員のために

 「付加価値は何のために必要だと思いますか」そんな私たちのぶしつけな質問に「わが社の社員のためです。皆さんもそうでしょう?」と笑顔で答えたのは、ヒューブシャー社の三代目社長、ミヒャエルさんです。

 スイスの農村地帯、人口4500人ほどのベーリンゲン村にある同社は1951年に創業、住宅の建築、たくさんの古い建物の省エネ・断熱改修、そして農村地帯ならではの多くの木造畜舎も手がけてきました。何よりも大きな特長は、25メートルほどの集成材の製造設備とその材でどんな3次元曲線をも実現できる加工技術です。

 「55人の社員には55の家族があります。私の目標は、その家族が安心して暮らせる、よい雇用主であること。私たちにしかできないものはないけれど、木材の地域循環に関するあらゆることを、自社で実現できます。日本でも大震災以来、再び木材が注目されていると聞きます。うれしいことです」

 欧州で聞く言葉には毎回、東日本大震災の話題が出てきます。

 「失った場所だからこそ、できることがある。絶望を希望の光に変え、なつかしい未来を創造しよう」6年前、発災時の気仙支部長田村滿氏の言葉に、心震えました。欧州で見た豊かな街の姿を夢見ました。しかし現在、岩手の沿岸では全国に見渡す街並みと同じような街が再現されようとしています。

創立の原点に戻ろう

 「1社では解決できない社会的諸問題を、皆で力を合わせて打開するのが同友会運動の真骨頂」宮城同友会の鍋島孝敏代表理事(日東イシダ(株)代表取締役)は、3月の岩手同友会気仙支部例会で、奮起を促しました。「エネルギーシフトどころではない。まず自社の再生」そう話す気仙支部の皆さんの声を聴くにつれ、思わず発した言葉でした。

 「地域課題に向き合うことが、わが社の経営課題そのもの」支部創設の目的は、そこにあったはず。しかし大震災から6年が経過した今、あらためてその原点を見つめ直す必要が出ています。

 前述のヒューブシャー社では、加工後の残材はすべて熱に変換し地域に販売しています。6台のボイラーを導入、熱供給網を配管も含めて自社で整備し、会社の周辺70棟の施設、住宅へ安定した熱供給をしています。こうした中小企業が数社地域に存在すれば、地域の自立はぐっと近づきます。私たちのめざしている未来の姿です。

 「3次元の付加価値技術も地域での熱利用も、地域の皆さんが安心して生活し、豊かな暮らしを続けるためのもの。企業がそうした環境を守り、そこに働く社員が情熱と誇りを持って新しい境地を拓いていく。国境を越えて共にがんばりりましょう」

 30歳の若き後継者、ミヒャエル社長の言葉は、同士から私たちへの励ましのメッセージにきこえます。

岩手同友会事務局長 菊田 哲

「中小企業家しんぶん」 2017年 4月 5日号より

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