【中同協インド・スリランカ視察】女性の社会進出を支えるもの (有)ノエル 代表取締役 近藤 泰子(愛知)

 中同協では12月10~16日にインド・スリランカ視察を行いました(本紙3月5日号に特集)。視察参加者のレポートを連載で紹介していきます。今回は愛知県でエステを営む近藤泰子氏です。

 近年、女性の社会進出が進むにつれ、家庭で経済的役割を担う女性が増えてきています。

 女性が家庭に経済的な貢献をするようになったとはいえ、妊娠・出産という役割を担うのはやはり女性です。そのため女性にとっては家庭と仕事のバランスをとることが求められていきます。

 日本でも、雇用の機会が均等になり多くの女性が活躍してきている一方で、出産・育児後の再就職の難しさや仕事と育児との両立の困難さが課題です。

 それにもかかわらず、次々と女性の雇用が増えていき、女性管理職が評価されるが働き手がいない、望まないのはなぜだろうか?と考えていました。

 そこで、インドの人口過多の状況下、女性がどのように活躍し社会進出しているのか? また、若い世代の女性がどのような職業に夢を抱いているのか?を今回の視察で女性に尋ねてみました。

 回答には、ソフトウェアやITサービス業が、女性が社会進出するための職種として存在感を増大させていることなどがうかがえました。

 女性の社会進出はこれまでの東アジア諸国の経済成長とは異なる様相を見せている面もあり、インドの経済成長の特徴およびその成長を持続的なものとするための課題を見ることができました。

 では男性が社会進出する女性をどのように捉えているのだろうか? どのように女性の能力を企業へ取り入れていくのだろうか?と尋ねたところ、インドで特に発展しているIT業界では企業の90%はフレックスタイムを導入、59%は在宅勤務を許可するなど女性の働きやすいワークスタイルを受け入れているというお話も聞けました。今後は女性による労働力が有効活用できるほか、管理職クラスの女性も増えていくのではないかと期待できます。

 女性の社会進出の現状と未来について、インド・スリランカ共に共通点は人口増加です。

 中国が1人っ子政策によって急速に高齢化するのとは対照的にインドの高齢化の進展は緩やかで、今後15~64歳の出産年齢人口の比率が長期的に拡大して、今後も豊富な労働力が供給され続け増大していくと考えられました。

 やはり大きな痛手となる日本の人口減少に対する今まで以上に重きをおいた組織づくりと企業としての成長だけではなく、「共育」・労働環境・よい経営者として経営者個人の人間力を備えることが必要だと学びました。

「中小企業家しんぶん」 2017年 4月 5日号より