事務局のBCP策定~緊急時の迅速な対応に備えて【高知】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】70

 全国で地震や水害などの災害が起こる中、高知同友会では事務局の建物の危険性と津波の到達時間などの話だけで終わっていました。昨年開催された香川同友会青年部委員会主催の第5回青年経営者中四国交流会・香川の分科会で三谷剛平氏(ミタニ建設工業(株)代表取締役社長、高知同友会会員)が被災時に社員が出社できるよう社員の家族まで安全をサポートするBCP(事業継続計画)を紹介したことをきっかけに、その考え方を生かした事務局のBCP策定に踏み切りました。

 まずはノウハウを学ぼうと県のBCP策定セミナーを受講しました。経営指針の成文化と同じように今の事務局の状態を客観的に分析し、被害もすべて想定。どのような事態が起こるか、するべきことは何かを洗い出しました。事務局がある建物は南海トラフ地震発生時、最大震度7、津波到達時間0~15分、津波浸水2~3メートル、液状化可能性大、階下は飲食店のため火災の可能性大という非常に危険な結果でした。

 また、災害時における事務局の重要な役割として会員の安否確認があります。災害時にメールやe.doyuが活用できるか、事務局・役員ともに役割を果たせない場合など課題はさまざまに考えられました。

 そこで、事務局が仕事のできる状態にある場合とない場合の2つを想定したBCPを策定しました。局員とも話し合い修正し、被災時に一覧できるよう会員企業の場所を地図に落としこみました。

 また、事前の対応としてより安全な場所への事務局移転(5月1日までに完了)や会員名簿などのデータをクラウドで管理し、どこでもメールチェックができる環境整備、避難経路の確認を行いました。

 中同協四国ブロック代表者会議においても、南海地震の四国全域にわたる被害を想定した各同友会のBCPを共有し、緊急時のそれぞれの役割や責任を明らかにしてブロック連携に取り組もうと話し合っています。

 安否確認のスピード化のためのe.doyu利用率の向上と役員の担当の分散化を図ることが今後の課題です。そのためには、まずは役員が企業でのBCP策定をしなければ、被災時に同友会のためには動けません。そこで理事会でBCP策定セミナーを開催することを承認し、6月から役員対象のセミナーを開催することになりました。

 受講したのちに、役員で事務局のBCPを作り上げていき、会員にも自社のBCPを策定するように、働きかけていく予定です。

「中小企業家しんぶん」 2017年 4月 15日号より