1社1人関わる運動を展開「障害者自立応援委員会がよくわかる」冊子を発行【愛知】

 「人を生かす…人間の幸せを考えるならば、最たるものは障害のある人がこの社会でどう生きていけるかにある」

 愛知同友会は、発足当初の1960年代から、障害のある子どもたちとのかかわりがありました。きっかけは、高度成長期の人材不足ですが、特殊学級を見学した会員たちは、自社での雇用を断念せざるを得ませんでした。

 しかし、「この子たちに人間として生きることを保証してやりたい。人づくりの本当の意味はここにあるのではないか。第1に理解、第2に理解の上に立った具体的な協力を」と全会に呼びかけました。その数年後、親会社の倒産で立ち行かなくなった授産施設の相談を受け、「慈善ではなく生活と労働を保証する」と建設運動に精力的に取り組んでいきました。

 同友会が人間尊重の精神を基盤とする以上、会の発足当初から障害者を支援する運動があったことは必然と言えます。しかし、半世紀以上を経過した現在、運動の広がりは十分ではなく、やり残した課題と言えます。

 愛知同友会では、全県的な運動とするために「1社1人関わる運動」を掲げ、なぜ障害者との関わりや雇用を運動の柱に据えてきたのか、その歴史や基本的な考え方を冊子にまとめました。

 冊子には、同友会運動の中軸を担った故・赤石義博氏の報告「人を生かす経営と同友会の障害者問題委員会」、かかわりの価値観、関わる機会の紹介、会員企業で働く障害のある社員の仕事(業種別)、愛知同友会と中同協での取り組みの歴史、を掲載しています。

 愛知同友会では「なぜ、経営者団体である同友会が障害者とかかわり、共に生きようとするのか。その謎を解く一助となれば幸いです」と活用を呼びかけています。

 お問い合わせは、愛知同友会事務局(TEL:052―971―2671)まで。

愛知同友会が作成した『障害者自立応援委員会がよくわかる』A5判21ページ、無料(データでもお渡しできます)

「中小企業家しんぶん」 2017年 5月 5日号より