人口予想と10年ビジョン

 5年に1度の将来推計人口が国立社会保障・人口問題研究所から公表されました。

 50年後の人口が3割減の8,808万人と予測。働き手の世代である15~64歳の生産年齢人口は2015年7,728万人から50年後4割減の4,529万人の51.4%に、65歳以上は3,387万人から3,381万人と横ばいも人口比26.6%から38.4%に。14歳以下の子どもが1,595万人から898万人10.2%。出生率が2015年1.45%から2024年までに1.42%に低下後、上昇して2065年に1.44%になるとの推計での計算ですが、人口減で人口比率が増えただけですので子どもの数は減り続けます。高齢者にしても2042年3,935万人(36.1%)をピークに減少していきます。人口比率では子どもは2032年から10%、生産年齢人口は2049年から51%、高齢人口は2053年から38%とほぼ一定になりますが、さらに長期参考推計では条件付推計がされており、100年後の2115年では、中位推計の出生率1.44%で人口は5,056万人に。出生率1.0%の場合2,648万人、出生率1.8%の場合でも7,936万人の31.2%に推計されています。

 企業の立場で見れば、自社の商品・サービスの最終消費者はこの年齢3区分のうちのどれに該当するかが10年ビジョンの前提にとって大事になります。表のように、2015年から2025年まででいえば、0~14歳の子どもを最終消費の対象とした業界は12%減ですので、年間1.2%の割合で業界が縮小していきます。15~64歳の成人対象業界は7.2%減ですので、年間0.7%の割合で縮小していきます。65歳以上の高齢者対象業界は8.6%増ですので、年間0.8%の割合で増加していくということになります。つまり10年後を描くにはこの減少と増加を前提に、売り先、商品、サービス構成を考えていくことが必要になります。日本だけでは売り上げを上げるのが難しい分野が多くなっていきますが、海外需要を取り込むにも、世界も高齢化していく流れから見ても、1つでも高齢者向けの商品・サービスを持つ必要性を示すデータです。

表 長期人口3区分推計 人口(万人)

「中小企業家しんぶん」 2017年 5月 25日号より