学びと気づきの場を皆でつくろう―自ら学ぶ手ごたえと、仲間とともに広め深める楽しさ【奈良同友会青年部会】

奈良同友会青年部会の出口としての卒業例会

 奈良同友会では2014年の青年経営者全国交流会の設営を担当。青年部会は、それを1つの契機として組織強化を進めてきました。1年間で部会員は45名から90名へと倍増し、その後も増勢、活動内容も常に見直しながら発展しています。部会員が倍増した原動力は、「全国の経営者から学ぶ機会をつくったこと」と「自ら動くことで学びが得られる風土をつくった」ことでした。例会報告者に全国の同世代経営者を迎え、毎月の例会で全国の経営実践から学びました。またその打ち合わせのために複数の役員で報告者企業を訪ね、道中も学びを議論しあって持ち帰りました。

 このように作り手にまわることでさらに濃い学びが得られるという活動は徐々に広がり、「自ら動いて汗をかいた者ほど得をする(役得)」という部会の風土ができていきました。

 部会員の増加に対しては、各自が主体的に参加できる場として委員会を充実させていきました。組織を構造化して、委員会がそれぞれに事業を分担するには、方針の浸透、進捗の共有、合意形成などが不可欠になります。そこでさまざまな仕組みを工夫したり、民主的な話しあいのプロセスを踏んだりする体験が、組織運営を学ぶ機会となり、自社経営にも生かされて「同友会活動と自社経営は不離一体」の確信が広がりました。こうして量と質の好循環により、部会は急速に発展しました。

 急拡大のなかで大切にしたのは、常に「何のために」を問いあうことでした。何のための増強か、何のための新規事業か。会議で率直に投げかけあうことで自分たちが同友会活動でめざすものが明確になり、それが同友会理念のより深い理解へとつながっていきました。目の前の活動と同友会理念が結びつく体験からは、同友会の歴史と理念に学ぶ大切さが実感され、当初から役員が持っていた「青年部会は奈良同友会の一部」という認識も自然と浸透していきました。

 昨年度から取り組んでいるのは「青年部会の入口と出口」です。“入口”は青年部会の紹介で入会した新会員に、支部・ブロックの役員と接点を持ってもらう「交流会」。“出口”は「卒業例会」として年度末に青年部会を卒業する会員を表彰し、同時に地域の役員に紹介する場です。支部・ブロックがしっかりと受け皿になって世代に限らず経営者同士が学びあえる、そんな環境づくりを青年部会の視点からめざしています。

「中小企業家しんぶん」 2017年 9月 15日号より