インターンシップは社会教育運動―山形同友会 4委員会合同例会

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】75

未来の子どもと社員の育成のためにインターンシップと採用の取り組みを考える

 9月11日、山形同友会では初の4委員会(経営指針・社員共育・共同求人・地域活性)合同例会を開催し、「未来の子どもと社員の育成のためにインターンシップと採用の取り組みを考える」をテーマに、例会は共同求人委員会と地域活性委員会が担当しました。

 はじめに、山形大学と連携している「低学年(1年生)インターンシップ」における目的や成果について山形大学キャリアサポートの松坂暢浩教授が講義を行いました。このインターンシップは文部科学省の好事例集にも選ばれています。

 講義ではインターンシップが国の方針に盛り込まれていることや、学生と企業にとって「共育」の場として取り組むことの大切さを再認識。また、運動面としても企業・地域での育ち合いを通して今後Iターンにつながる可能性もあると期待が膨らみました。

 一方、学生と社員のスキルアップを図るための受け入れ体制づくりは重要であり、ただ単に受け入れるのではなく、各企業において目的を明確にしたプログラムを構築する必要性が指摘されました。

 次に(株)サニックス代表取締役社長の佐藤啓氏がインターンシップの事例を報告。(株)サニックスでは毎年テーマを持って全社的に取り組んでおり、多くの社員がかかわり、いろんな体験をしてもらうことで人と作業を通して会社の魅力を伝えています。

 佐藤氏は何のために行うのかの目的設定が大切であり、中小企業を正しく理解してもらい、若い人を採用し、地域に人を残すこと、そのためにも学校や学生との関係づくりが重要であると述べ、この事例は、組織活性も感じられる素晴らしい取り組みでした。

 グループ討論では各社の取り組みを紹介し、インターンシップの目的や採用、離職問題について熱く語り合いました。

 受け入れ体制40社80名という目標を達成するためには「インターンシップは社会教育活動」という認識の浸透が大切であり、高校生も視野に入れて、人を生かす同友会企業(経営計画をもとに社員を採用・育成に力を入れる)というブランドをつくり発信していく必要があるとまとまりました。

 今回、課題となったインターンシッププログラムについては、学習・検討の場をつくり、今後もこのテーマを継続して学ぶ場を設けることになりました。

 同友会が考えるインターンシップは、中小企業に対する正しい認識や魅力を教育機関と連携しながら地域に広め、若者を残し、育てられる地域をつくるための社会教育運動と位置づけています。採用難・労働力不足の問題は直近の経営課題ではありますが、採用と直結しない同友会らしい取り組みが大切であると感じました。

 今回の合同例会で共有できたことは非常に意味深いことで、今後インターンシップ受け入れ企業を増やすことで実践の成果とを図っていく必要があると感じました。

山形同友会社員共育委員長 阿部 和人

「中小企業家しんぶん」 2017年 10月 15日号より