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【同友会景況調査(DOR)概要(2017年7~9月期)】景況感は好調なれど、人材不足問題が浮上

〈調査要項〉

調査時点 2017年9月1~15日
調査対象 2,379社 回答企業 1,002社(回答率40%)(建設172社、製造業319社、流通・商業302社、サービス業200社)
平均従業員数 (1)38.6人(役員含む・正規従業員)(2)30.0人(臨時・パート・アルバイト)

※業況判断DI(デフュージョン・インデックス)は、好転企業が悪化企業を上回っている割合(%)をさす。DIが100に近いほど、好転企業の割合が高いことを意味し、DIが-100に近いほど、悪化企業の割合が高いことを意味している。好転、悪化が同数の場合は、DIは0となる。ほかの指標のDIも同じ考え方で作成されている。各水準DI以外、本文中特に断りがないものは前年同期比。

景況感は好転傾向に

 9月の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)の製造業の業況判断DIは前回調査から5ポイント上昇の22となり、改善は44半期連続10年ぶりの高水準となりました。中小企業全産業の業況判断DIも前回調査から2ポイ ント改善の9と1991年11月以来、約26年ぶりの高水準となりました。ようやく景気回復のすそ野が広がってきた感触もあるなかで、先行きは悪化を見込むなど、楽観はできません(図1)。

 DORでは業況判断DI(「好転」-「悪化」割合)3→5→10、売上高DI、経常利益DI(いずれも「増加」-「減少」割合)5→7→10、1→5→6、足元の業況を示す業況水準DI(「良い」-「悪い」割合)も0→1→9とすべての主要指標で2期連続の回復となっています。次期(2017年10~12月期)は業況判断DIは横ばいを見込みますが、ほかの主要指標はさらなる改善を見通しています。

おおむねすべての業種、地域、企業規模で良好

 それぞれの分類における業況判断DIの内訳をみてみると、業種別では、前期マイナス水準だった建設業が△5→4とプラス水準に転じたほか、製造業が4→14と10ポイントの大幅好転、流通・商業は 5→8、サービス業は15→14と大きな変化はありませんが、一定の水準を保っています(図2)。

 地域経済圏別は、2016年10~12月期から高水準の続く九州・沖縄は今期若干の悪化となりましたが、ほかの地域は好転し、すべての地域でプラス水準となりました。

 企業規模別では、すべての規模で好転しました。今期はとくに20人以上50人未満、50人以上100未満規模の大幅回復が目立ちました(図3)。

資金繰りの余裕感が続き、借入難度も容易化傾向

 金融動向としては、資金繰りは前期から引き続きすべての業種、地域、企業規模で余裕感が続いています。借入難度の容易化傾向も変化はありません。

 物価動向は2017年に入ってから仕入価格の上昇圧力は継続していますが、売上・客単価の上昇テンポも緩やかながら仕入価格のテンポを上回っており、これが売上高や採算改善につながっているとみられます。

人材不足が深刻化

 生産性を示す指標の1人当たり売上高DI、1人当たり付加価値DI(いずれも「増加」-「減少」割合)も改善し、今期プラス水準に転じました。

 正規従業員数DI(「増加」-「減少」割合)は15→12と、2011年7~9月期以来25期 連続で「増加」側を維持しています。人手の過不足感 DI(「過剰」-「不足」割合)も同時期に「不足」側に転じて以来、不足感が高まり続けています。とりわけサービス業で深刻です。

 設備投資についても2010年7~9月期に「不足」側に転じ、不足感が継続しています。設備投資実施割合も2013年7~9月期以来30%を超えており、安定した設備投資の実施状況が続いています。

「人」に関する経営課題が顕著に

 経営上の問題点の「従業員の不足」への指摘割合は2009 年10 ~ 12 月期の2.9%を底に上昇し続け、今期は40%と4 割の企業において課題として認識されるようになりました。また、同じ人材不足でも、建設業・製造業では「熟練技術者の確保難」に対する危機感も高まっています。さらに、「人」に関する経営課題として「人件費の増加」も近年急浮上するなど、もはや人材不足問題は一時的な課題にとどまらず、人件費や事業の維持・拡大などの企業経営全体に大きな影響を与える重大課題になってきています(図4・図5)。

 また、経営上の力点では「新規受注(顧客)の確保」(56→ 54%)、「付加価値の増大」(50→ 48%)、「社員教育」(45→ 45%)、「人材確保」(40→ 44%)の上位4項目の変動はありませんが、「人材確保」については1993年4~6月期に本設問を設けて以来、最高値を示すなど、「人」に関する経営課題を重視する傾向は今後も高まっていくことが予想されます。

<働き方改革の動きに対応する会員企業の声>

○働き方改革に伴う環境整備(人材適正配置・社内コミュニケーション)の構築をめざしたいが、時間がかかりそうである。社内グループ討論の実施をするなど少しずつ進めていきたい(青森、建設業)。
○働き方を変えるため、フレックス制を8月より試しに導入。女性社員の増加に伴い、女性社員を管理職に任命、社員教育のあり方の見直しを考えている(富山、流通・商業)。
○人材不足でドライバーがいなくて仕事があってもトラックを動かすことができない期間が続いていた。面接するこちらの方が慎重になり雇用をしている。労働環境改善が自社の努力だけでは成り立たない(荷主側の問題)ので、コミュニケーションと体調管理の声かけなど工夫している(奈良、一般貨物輸送業)。

「中小企業家しんぶん」 2017年 11月 15日号より

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