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環境経営で企業革新を~同友エコ受賞企業の実践事例を紹介

 中同協では「同友エコ2016~2017」として、全国に「環境経営・エネルギーシフト」に関するアンケートを実施。1270社のエントリーがあり、16社が同友エコ大賞などを受賞しました。受賞企業3社の実践を紹介します。

【同友エコ大賞】(有)みやび設計 代表取締役 吉野 雅一(埼玉)

技術的な裏づけに基づく適正な提案を

 わが社は1984年に都内で創業し、1985年に法人設立をしました。当初は大手設計事務所やゼネコンのパートナーとしてBtoBの設計業務を行っていましたが、1991年に本社を故郷の埼玉に移し、主にBtoCの業務に切り替えをしてきました。現在34期目になり、埼玉を中心にした民間建築の設計・工事監理をしています。同友会を知ったのは18年前で、2000年に入会しました。

中同協定時総会をきっかけに

 埼玉同友会では2008年の中同協第40回定時総会in埼玉の開催時に分科会で平沼氏((株)リバイブ、現中同協地球環境委員長)からの報告を機に、同年11月に地球環境部会を発足しました。当初2年間は「環境経営とは」の学びを深めるため、主に環境マネジメントの学習に取り組みました。

 参加者はごく少数で、内容は濃く難しく、なかなか理解が進みませんでしたが、企業活動がどれだけ環境に負荷を掛けているのか、どうすれば環境に優しくできるかが徐々にわかるようになり、まずは自社のエネルギー使用量を数値化してCO2換算で何トンになるのかを知ることからはじめ、削減化に取り組んできました。24時間稼動しているファイルサーバーなど世代順に4台も無駄に動かしているのを廃止して、事業規模に応じたストレージに切り替え、照明のLED化や紙の消費量削減、エコドライブなど、すぐに3割程度の削減を達成しました。

環境で付加価値を生み出す

 つぎに、仕事にどう生かし、新たな付加価値をつくり出すかが難題となりました。

 2011年の東日本大震災による原発事故や輪番停電の経験などもいろいろな意味で大きな学びでしたが、2014年に中同協と首都圏4同友会が共催で行った「エネルギー問題学習会」での環境ジャーナリストの村上敦氏の報告を聴いて衝撃を受けました。特に建築に関する日本の立ち遅れはその後自身でもオーストリア視察などで検証しましたが、盲点でした。

 省エネ建築を実現するための技術的な裏づけ研究は、建築基準法や環境関係の業界動向からも進めていました。埼玉県では産業振興公社が主催する「次世代住宅産業プロジェクト」があり、地中熱利用などの技術的な研究開発が独自に進められており、参画することで技術習得などが進む一方で、地元の専門家などとのつながりを築くことができました。

エネルギーシフトに向けて

 国などが進めている策とは一線を画しますが、科学的に信じられる策を採用して、断熱ではなく遮熱理論を優位に建築する工法に取り組むことにしました。現在まだ実績件数は少ないですが、夏涼しく・冬暖かい住宅の改修や省エネ事業所の建築を行っています。空調にかかるエネルギーの半減化とともにヒートショックの無い住空間として喜ばれています。省エネは我慢や単なる設備投資で終わらないよう、建物に応じ適正な提案をして実現することが現在の業務の主軸になろうとしています。

 エネルギーシフトとして暮らしの質を変えて、さらに地域経済に寄与できるところまで実感できるのはまだ少し先になると思いますが、理念や経営指針にはその考えを位置づけて進めています。

 環境関係のNPOに3団体が加入し、バイオマスエネルギー関連の協議会の立ち上げや運営にも精力的にかかわり、地域との連携を強く意識しつつ、全国の事例視察などから学び取りながら再エネ施設のデータ収集に動きまわっています。

【同友エコ大賞】西岡化建(株) 専務取締役 西岡 洋子(大阪)

地球環境保全への取り組みを事業基盤として

エコアクション21から会社のしくみを作る

 弊社がエコアクション21の認証取得に取り組んだのは2010年9月、大阪同友会環境部会が開催する取得支援スクールに参加したときからです。月刊誌に環境部会の活動を広報部として取材したことがきっかけでした。6カ月間月1度の研修講座と、終了後は認証取得に向けて分らないところが分かるまで、講師陣の手厚いご指導をいただきました。なんとか1年を過ぎた2011年12月に認証取得にこぎ付けました。

 取得後の継続は日常業務に加えて、2年ごとの更新とその間の年に中間審査があります。自分1人に負担がかかるのは厳しいと思い、書類作りに専念してくれる担当者を選抜したことが活動の体系をつくり、会社のしくみづくりにつながったと思います。

産業廃棄物の分別徹底と安全安心の仕様

 一般建設業として、防水・防食工事、塗装・塗床工事などを業務とする弊社が、本業においてどのように地球環境保全への取り組みをするか、みんなに問いかけ意見を請いました。技術部からは建設現場から持ち帰る産業廃棄物が多すぎると意見が出て、まずその分別を徹底的にすることから始めました。金属などの有価物、廃缶やペットボトルなどの資源ごみの分別、古紙ダンボールは地域の子ども会の回収に差し出し社会貢献しています。結果どうしても最終廃棄物として残ってしまう廃プラスチックやガレキのみを処理に出し、処分費削減に役立ちました。

 また、防水・防食工事の仕様として安全・安心な原材料を使用することを旨とし、特定化学物質に指定された有害性成分を含まない工事を早くから手掛けてきました。欧州でその危険性を危惧されてきたモカやスチレンモノマーを排除したFRP防水工事を自社開発により実現させました。

 2016年6月に労働安全衛生法が改正され、化学物質のリスクアセスメントが義務化されました。弊社では倉庫に現在保管されている材料のSDSを入手し、さらには材料ラベルに表示されている危険有害性情報、救急措置、取り扱い上の注意、保管方法などを新人教育の一環として、新人にまとめてもらい、社内で周知しました。これらのまとめた情報を利用して、今後作業手順を変更する際や、リスクアセスメントを実施して安全施工に努めていきます。

生物多様性の保全活動は無農薬野菜作り

 会社のすぐそばに社長が管理している畑があります。社長は農家出身で野菜作りはベテラン。土作りから凝った有機栽培をしています。もちろん無農薬、肥料も腐葉土や油粕など有機肥料を使い、虫除けはわずか木酢を使うのみ。好きが高じて作付けの種目も年ごとに増やし、夏はトマト、キュウリ、ナス、ピーマン、秋冬は大根、カブ、水菜、ネギ、春はエンドウ、玉ネギ、ブロッコリーと1年中20種類を超える野菜を作っています。有機栽培は野菜そのものに甘みがあって、とてもおいしいのです。社員が収穫し、お土産となって大変喜ばれているので社長も張り切って頑張っていますが、これが生物多様性の保全活動として環境省の環境コミュニケーション大賞・優良賞の評価にもなりました。

地球環境保全は会社の基盤

 建物が劣化し耐久性が無くなったとき、すぐに壊して新しいものを建てますか、といつも問いかけます。今ある資源を大切に、長持ちさせ、リフォーム、リユースしていくことのお手伝いこそ弊社の使命です。温暖化による猛暑に耐える遮熱塗装や、水害、薬害を防ぐ、防水・防食工事は地球環境保全に通ずる事業基盤であると信じています。

 同友会の環境部会より学び、会社のビジョンやしくみづくりにも影響を受けたエコアクション21。このたび中同協地球環境委員会より同友エコ大賞の受賞を致しましたことは、誠にうれしい栄誉であります。今後も日々研鑽に努めてまいります。

【地球環境委員長賞】(有)小田商店 代表取締役 小田 大輔(徳島)

水インフラ維持にかかわる企業の事業継続性からみたエネルギー削減活動

発電量・使用量の検証から

 電気代削減には興味があり、使わない場所の照明器具を取り外して照明器具数を減らし、パソコンの待機電力削減で就業時間終了時にブレーカーをおとすなどを行っていました。ただ効果測定についてはあいまいで、やってみた結果電気代が下がった気がする程度の効果でした。いわゆるPDCAのCheck(評価・検証)の効果測定がありませんでした。Cがあいまいだと結果もあいまいになります。

 同友会入会後、2013年に会員企業の飲食店経営の方が毎日水道メーター、電気メーター、ガスメーターの検針を行って日々の数字を追いかけて、異常値を発見すると対処しているという話を聞きました。「これはすごい」と思い、当時太陽光発電パネルを自社の屋根に取り付けていたので、発電量の売電メーターの検針と同時に電気メーターの検針を行い電気使用量の確認を行いました。

 新卒採用の新入社員を記録担当として、発電量・電気使用量について毎日就業時間終了時に各メーター数値を記録して、前日との差分を使用量として測ることにしました。1年測定すると、季節変動がみえてきます。比較的冷房や暖房を使わない春と秋でも電気をある程度使っていることに気がつきます。

サーバーを切り替える

 社内を見渡してみると、サーバーが電気をたくさん使っていました。当社は水道部品の販売を行っているので、5万点程度の部品の名前や仕入先・仕入価格・得意先ごとの売価・取引伝票など取り引きに必要な情報はMySQLというデータベースでまとめています。サーバーをなくすわけにはいきません。

 そんな時にシステムを依頼している会社の方から「AWS(Amazon Web Service)を使いませんか」と提案をうけます。当時パソコンからスマートフォンへシステムを切り替えていたので、社外から情報にアクセスするのであればサーバが社内にある必要はないと決断し、社内サーバを撤去しAWSに移管しました。ついでに待機電力を一掃するために、FAXをクラウドサービスに移行しました。移行作業をシステム担当の社員が行い、新卒採用の若手社員が検証を行う体制で削減量について確認しながら実施していきました。

 現在では就業時間後に会社で電気をつかっているのは冷蔵庫だけです。

オフグリッドをめざして

 事業に必要なエネルギーが下がることは事業継続性も向上します。水インフラ維持の一翼を担う当社としては、災害が発生した際に水道部品を販売していくためにも、電気使用量を減らして少ない電気で事業が行えることが大切だと考えています。

 最終的には商用電源を使わず、オフグリッド(電気を自給自足すること)で事業ができるようにしたいという目標を設定しています。高い目標ですが、今後も継続していきたいと思います。

「中小企業家しんぶん」 2018年 2月 5日号より

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