「社員主体経営」の神髄は公私混同しない経営姿勢 ベルテクネ(株) 代表取締役社長 鐘川 喜久治氏(福岡)

 金属加工事業として1914(大正3)年に創業し、2014年に創業100年を迎えたベルテクネ。2017年7月に社名を(株)鐘川製作所からベルテクネ(株)に変更し、現在は精密板金分野の総合メーカーとして建築工事事業や水産機械事業の3分野に展開しています。

会社の成長は社員のモチベーションで決まる

 鐘川社長が2007年10月に社長に就任して以来、「社員主体経営」を掲げ、社員の自主性や社員を大切にする姿勢を貫いています。「会社の成長は社員のモチベーションで決まる」と社員の国家資格取得を推奨し、若手技術者が育つ仕組みを構築、九州初の女性国家技能検定1級合格者を輩出するなど、人材育成の面でも注目されています。

 労働環境の整備という点でも、働きがいがあり社員が人生設計を立てられる会社であることを重要視し、有給休暇取得率を高める活動や変動型休日制度の採用など、福利厚生にも注力しています。採用では、新卒、中途採用両方に対応し多様性を大切にしています。

 経営面では、ITを活用して毎月数万点にも及ぶ加工品すべての原価計算ができるようになっており、数値の面においても「見える化」することで収益率の向上につなげ、徹底した仕組みづくりで経営体質の強化を図ってきました。また、社員の能力向上もITにて「見える化」しています。

公私混同しない緊張感ある経営姿勢が社員の信頼に

 時代の変化に素早く対応し、持続して成長できる会社をめざして、各事業本部長に事業部内の人事異動や新規採用などの権限を委嘱しています。経営情報も決算書の公開のみならず取締役会議の社員参加は自由、会議資料も社内のITシステムで閲覧可能といった徹底ぶり。経営者評価もシビアで、年に1回社員による管理職評価では、社長の評価結果を開示するなど透明化を図っています。

 「社長自身が社員の目線で経営をチェックし、公私を混同しない緊張感ある経営姿勢が社員の信頼になり、社員のモチベーションを引き出すことにつながる」と鐘川社長。社内の体制づくりを進めるなかで、マネジメント手法を学ぶだけでは社員主体経営の実現は難しいことに気づき、経営者の経営に対する姿勢を学ぶ道にシフトしていきました。

 このような体制のもと自己成長していくシステムを確立してきたベルテクネは、2017年10月に新社屋を完成させました。これまでの技術力を駆使して内部外部の金属製品や建築板金は自社で製作。社屋そのものが企業の技術力を象徴させるものになっているだけでなく、社員のモチベーションアップの源泉にもなっています。

ベルテクネ(株) 会社概要

創業:1914(大正3)年5月
従業員数:84名
資本金:6,310万円
事業内容:総合精密板金、建築金物一式、建築金属工事・設計・製作 ・水産関連機器・設計・製作

「中小企業家しんぶん」 2018年 2月 5日号より