中小企業と人材~人材育成に期待される中小企業の役割【日本中小企業学会】

 日本中小企業学会の第38回全国大会が9月8~9日、武蔵大学において行われました。今回の統一論題は「中小企業と人材~人材育成に期待される中小企業の役割」。統一論題報告が3本、自由論題で22本の報告がされました。

 自由論題のテーマは、自動車産業と下請け問題や海外での新事業展開、地域産業システム、戦後ドイツにおける開業促進政策、製造業のサービス化、都市型中小企業研究などでした。

 例えば、「人づくりを基軸とした和裁企業の経営」と題して広島修道大学の木村弘氏が報告した分科会。

 木村氏は、(株)勝矢和裁(広島同友会会員)を紹介し、人材育成を通じた高い技術力が優位性となっていることを指摘。特に、和裁士の輩出数で日本一に認定された社員が8人もいることが同社の強みであるとしました。

 また、中同協・企業環境研究センター委員の植田浩史氏(慶應義塾大学教授)が「自動車産業における下請についての考察~Eメッキ倒産に関する裁判から見る70から80年代の下請関係・下請問題」と題して報告。

 植田氏は、E社は「下請」だったのか、安定的・拡大的な取引関係が存在し、E社の投資は合理的なものと判断されるか、などについて裁判資料から明らかにしていきました。

 さらに、統一論題では、「ジェンダー・ダイバーシティ・マネジメント」や「外国人材の活用」「事業承継を契機とした人材マネジメント」をテーマにした報告の後、中小企業と人材を中心に熱い議論をして、終了しました。

 なお、来年は、愛知学院大学で行われる予定です。

「中小企業家しんぶん」 2018年 10月 5日号より