未来農業に役立つ情報発信拠点~農業でのエクセルギー技術 (有)アグリ開発 代表取締役 宮園 義実氏【静岡】

農業への「エクセルギー技術」応用

宮園義実氏(静岡同友会会員)は、創業前は農業機械メーカーに勤めていました。そして、1999年に独立し、(有)アグリ開発を設立します。以来18年間、農業資材サプライヤーとして事業を展開してきました。独立当初はさまざまな方に支えられ育てられてきた経験から、宮園氏は「ご縁を大事にする」ことを非常に大切にしています。

(有)アグリ開発は研究開発実験ルームを備えた本社新社屋を、2017年にオープンしました。この新社屋は農業分野での活用は全国で初めてとなる「エクセルギーアグリ技術」の体感ルームなど「未来農業に役立つ情報発信拠点」としての機能を備えています。エクセルギーアグリ技術とは簡単に言うと、「農業分野で使えるエネルギーを余すことなく有効に利用する技術」です。

さまざまな先進的機能を持つ新社屋

新社屋は「農業に革命を起こす!」と本気で取り組む宮園氏の思いが随所に感じられるものとなっています。まず、1階では農業資材通販の全国出荷に対応したラック式収納や組立加工部門、トラクターや大型機械の保管に便利な低コスト農業用テント倉庫の実物を展示しています。

続いて2階では、エクセルギーアグリ技術を取り入れた農業の実験・体験ルームです。例えば従来では冬に作物を育成する場合、重油を大量に消費して熱を生み出し、ビニールハウス内部の全体を暖めて管理しています。そのため、農家の重油代などの負担は経営を圧迫していました。

しかし、植物の根の周辺を暖かく保てれば消費するエネルギーを抑えて十分育成できるのではないか、というエクセルギーアグリの理論に基づく仮説の下、実験的にイチゴの根の周辺を暖かく保ち、実験栽培しています。

そのほか、大規模農業に対応した農業省力化・自動化システムのショールームや作物の営農技術に関する情報を集約・蓄積するためのコンピューターサーバーを設置、これらの情報の提供や営農の提案をする営業本部としての機能も併設しています。3階は、これからの次世代の農業後継者を育てるセミナールームを設け年間カリキュラムで新規就農や農業後継者を支援するセミナーを企画開催する予定です。

このように新社屋全体で、全国の顧客や農業界全体のニーズに応えるためのさまざまな新しい技術やシステム、開発、情報発信などに取り組んでいます。

キャッチフレーズにこめられた思い

宮園氏はキャッチフレーズである「“農”ともにこの先へ!」について、「このキャッチフレーズにある『ともに』には、いろいろな意味を込めています。お客様、農家とともに、取引先とともに、仲間・スタッフとともに、地域とともに。さまざまな方たちとともに力を合わせて農業の課題を解決し、次世代の農業を創造していきたい。さらには、農から発信した技術を緑化や環境分野など他の分野にも幅広く応用し役立てていきたいと考えています」と熱く思いを語りました。

AGRIこれからの展開

エクセルギーアグリの技術は農業に活用できる最新の栽培技術として落とし込み商品化していく方向で補助金などを活用し技術資料の製作や展示会での情報発信に取り組んでいます。

今後、全国初の「エクセルギーアグリ技術」が日本農業の発展に大きく貢献していくことでしょう。

会社概要

設立:1999年9月
社員数:10名 パート2名
事業内容:農業用散水設備、屋外緑化資材

「中小企業家しんぶん」 2018年 10月 5日号より