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【同友会景況調査(DOR)概要(2018年7~9月)】現状は小康状態だが、懸念はトランプ貿易戦争のゆくえ

〈調査要項〉

調査時点 2018年9月1~15日
調査対象 2,416社
回答企業 967社(回答率40.0%)(建設175社、製造業307社、流通・商業293社、サービス業184社)
平均作業員数 (1)39.2人(役員含む・正規従業員)(2)29.2人(臨時・パート・アルバイト)

※業況判断DI(デフュージョン・インデックス)は、好転企業が悪化企業を上回っている割合(%)をさす。DIが100に近いほど、好転企業の割合が高いことを意味し、DIが-100に近いほど、悪化企業の割合が高いことを意味している。

 好転・悪化が同数の場合は、DIは0となる。ほかの指標のDIも同じ考えで作成されている。各水準DI以外、本文中特に断りがないものは前年同期比。

景気の不安定感は解消せず

日銀の9月短観(全国企業短期経済観測調査)によると業況判断指数(「良い」-「悪い」割合)が、大企業製造業は19となり、34半期連続での悪化となりました。中小企業は12と1ポイント好転ですが、先行きは7と慎重な見方。貿易戦争で輸出に懸念が出ているほか、原材料高や自然災害が逆風となっています。(図1)

DORでも足元の業況を示す業況水準DI(「良い」-「悪い」割合)は5→8、業況判断DI(「好転」-「悪化」割合)4→5、売上高DI、経常利益DI(いずれも「増加」-「減少」割合)は、それぞれ3→5、1→△2と経常利益DIを除いて好転、増加が目立ち、小春日和といえる状況です。次期(2018年10?12月期)は全主要指標で改善を見込み、日銀短観とは真逆の結果予想で押し戻す力が感じられます。

今期の業況判断DIを業種別でみると、好転したのは建設業(5→9)とサービス業(1→11)、悪化したのは製造業(8→6)と流通・商業(3→1)と、業種により好転と悪化が混在しています(図2)。地域経済圏別でも好転した近畿(4→17)、九州・沖縄(△5→5)と、悪化した関東(11→9)、北海道・東北(△6→△14)、中国・四国(6→4)、横ばいの北陸・中部(13→13)と、地域により変化方向が異なっています。企業規模別では50人以上100人未満のみが好転方向となり、規模による差が明確です。

仕入単価上昇圧力は高止まり

資金繰りDI(「余裕」-「窮屈」割合)は15と前期同様の水準です。借入金利については、長期資金の借入金利(前期比)に上昇圧力が強まっていますが、借入難度への影響は見られません。

また、2016年後半から上昇が続く仕入単価DI、売上・客単価DI(「上昇」-「下降」割合)は前期から変化なく、上昇傾向は落ち着いたようです。しかし、仕入単価の上昇テンポに売上・客単価の上昇テンポが追いつかずに収益環境が脅かされていることに危機感を感じる企業も多く、経営上の問題点として「仕入単価の上昇」を挙げる企業も増加しています。(図3)

生産性に関連する1人当たり売上高DIおよび1人当たり付加価値DI(いずれも「増加」-「減少」割合)は上昇し、今期の景気の好転を下支えしました。

雇用問題はより深刻に

人手の過不足感DI(「過剰」-「不足」割合)は△43→△47と不足感を強めています(図4)。正規従業員数DI、臨時・パート・アルバイト数DIは「増加」側を推移していますが、所定労働時間DIは減少傾向にあり、働き方改革をはじめとする労働環境整備や人材確保のみならず、技術の継承や業務の質の担保など、雇用を発端とした経営課題はより深刻になってきています。

設備投資については、設備の過不足DI(「過剰」-「不足」割合)も恒常的に「不足」側を推移し、設備投資を実施した企業の割合は全体で37%、今期はサービス業が牽(けん)引役となっています。

同時並行で経営課題に挑戦を

先に触れたように、今期はとりわけ雇用と仕入単価上昇に関する指摘が目立ちました。経営上の問題点の上位3項目は「従業員の不足」(42%)、「人件費の増加」(30%)、「仕入単価の上昇」(27%)で、かつて上位を占めていた「同業者相互の価格競争の激化」(26%)、「民間需要の停滞」(26%)の2項目は割合を下げました。「熟練技術者の確保難」(23%)も増加傾向にあります。(図5)

経営上の力点は「付加価値の増大」(50%)、「新規受注(顧客)の確保」(49%)、「社員教育」(46%)、「人材確保」(44%)と、ここ2年ほどで4項目の指摘割合の差がなくなってきています。

今期の景況は上向き傾向にありましたが、人材不足問題や自然災害、来年の消費税率アップ、そして貿易摩擦問題など景況悪化につながる要因は増え続けています。今期は全国的に豪雨や台風、地震など自然災害が立て続けに襲った時期と重なり、具体的な対応事例の声も届いています。

予断を許さない状況の中で、情勢や市場動向への注意を払いながら、人材確保と社員教育で雇用面を支えつつ付加価値を高め、複合的な経営課題に対する不断の挑戦姿勢がますます求められています。

〈会員企業の実践から〉

○低下していた販売単価も消費者の安心、安全志向の高まりで上昇傾向、同時に粗利率も上がっている。在庫削減効果で物流の生産性が高まり運賃値上げ分を吸収している。(北海道、流通・商業)
○猛暑による受注急増に対する生産体制の構築。人材の機動的確保と省力機械設備の導入検討。(群馬、製造業)
○平成最後の夏。来年度は消費税率アップも。販売価格をどうするか課題。豪雨の影響はこれから。すでに夏野菜などの値は高止まり傾向。冬の繁忙期に仕入コスト上昇は避けられない。また、民間の団体客の減少が目立つ。インバウンドも一服。(京都、サービス業)
○人材不足であるため外注委託が増えている。その下請先も仕事量が多すぎて断られている状態である。(愛知、製造業)
○地域の災害応急復旧を重点に経営を行った。会社全体の工事バランスが災害対応状況になっていくため、過去の災害時には売上増、利益減、借入増となった経験からしっかりとした数値管理を行い、過去と同じようにならないようにする。(岡山、建設業)
○西日本豪雨被害により、マイナス面(キャンセル、飲食店の需要減などの2次被害)とプラス面(被災地支援に関する需要の発生)の両面が発生した。(広島、製造業)

「中小企業家しんぶん」 2018年 11月 5日号より

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