
Q6 このような法律により金融機関の負担が大きくなり、収益を圧迫しないでしょうか。また、中小企業のエゴと受け取られないでしょうか。
金融アセスメント制度が求めているものは、あくまでも金融機関が経営の健全性を保持しながら、その社会的役割を果たすことです。金融機関は、その体力に応じたリスクを積極的に背負いつつ、融資活動を行う姿勢こそが現在求められており、事業リスクに関する判定能力を早急に回復させることが日本の金融機関にとっての焦眉の課題といえます。その意味で金融アセスメント法は、金融機関に対し、適正にリスクを求めるものであって、決して過大なリスクを強いるものではありません。
またわが国では、すでにこれまでにも金融機関はかなり詳細なデータを当局へ提出してきており、この制度の導入で新たに莫大な費用が必要になるとは考えられません。
この制度のモデルはアメリカの地域再投資法(CRA)ですが、この法律が地域経済の活性化を生み出し、アメリカの奥深い景気拡大を支えてきた一因であるといわれています。銀行経営の面からは、CRAによる貸出の収益性の評価は高いとはいえませんが、CRA貸出が地域の新しい金融ニーズの開発を可能にし、新たな収益性のあるビジネスチャンスをつくりだすものと受けとめられています。日本でも長期的には、経営基盤を安定させるものとして日本の金融機関にも賛同を得られるでしょう。
このように金融アセスメント法の制定は、中小企業のエゴにもとづくものでなく、厳しい局面にある日本の地域経済に活力を取り戻し、地域経済の発展に貢献する金融機関との共存共栄をめざしているのです。