
シリーズ下
新しい金融システムの創造を
東信協と共催でシンポ
1986年に始まった社団法人東京都信用金庫協会と同友会との交流は、長年の地道な交流を通じて、相互理解と信頼関係を深めてきました。
こうした交流の結節点が本年2月に開催した同友会と同協会との共催のシンポジウムです。
この取り組みの背景には(1)中小企業を取り巻く金融環境の急激な変化(2)金融庁の「金融検査マニュアル」の一律適用の問題点(3)同友会の金融問題や金融アセスメント法での提言や行動があります。
53金庫から25金庫へ
東京都内の信用金庫は10年前の93年の53金庫から03年には決定済みの合併も含め25金庫と半減しています。これには「金融検査マニュアル」行政が大きな影響を与えています。
同協会が提言した答申案でも「金融検査マニュアル」の画一的な適用により地域、中・小零細企業への円滑な資金供給が著しく細り地域経済に大きなダメージを与えた結果、資産が劣化した地域金融機関の破綻をもたらし、それがさらにダメージを与えるという悪循環になっていると指摘しています。
貸し手と借り手が共同して
「これからの地域金融は俺たちにまかせろ」と題した共催のシンポジウムは、昨年秋から準備され、双方の役員会等での検討を経て実現したもので、貸し手と借り手が共同し、新たな金融システムの創造をめざす画期的な取り組みとなりました。
当日は、同友会経営者110名、信用金庫関係者50名、マスコミ等10名の計170名が参加、山口義行氏(立教大学教授)の基調講演、由里宗之氏(中京大学助教授)、大神田忠弘氏(多摩信金常務理事)、田山謙堂氏((株)千代田エネルギー会長)、コーディネーターに三宅一男氏(東京同友会副代表理事)のパネルディスカッションが行われました。
参加した会員からは「大変感動的で勇気が湧いた。新しいシステムを作るうねりを感じた」、信金側の参加者からも「地域金融機関の役割を再認識し、真のパートナーとしての信頼関係をつくりたい」との感想が寄せられました。
とくに、多摩信金の地域や中小企業と共に新たな展開をはかっていることについて、参加者の大きな共感が寄せられました。
東京同友会では、こうした成果をさらに今後の活動のなかに生かしていく予定です。
信用保証協会とも連携して
また、6月に行われた東京信用保証協会との懇談も4年目を迎え、率直で突っ込んだ懇談会となっています。
今年は同友会として事前に、担保優先主義、長期中小企業ローン、旧債振替など11項目にわたる質問・要望を提出しました。懇談の議事録は、同友会と協会双方で確認し、会員へその成果を知らせています。
(完)
東京同友会事務局長 松林 信介