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【22.07.13】特集 中小企業憲章・条例推進月間、中小企業魅力発信月間キックオフ 実践報告2〜市場創造 業界支援で日本茶の未来を拓く〜失敗を責めず新たな挑戦を楽しむ (株)吉村 代表取締役社長 橋本 久美子氏(東京)

2020年4月、「本社全員在宅勤務」を宣言したところ、「社長はいつも私たちのことを大事だと言っているけど、結局トップダウンなんだ。FAXも見れないし、ハンコはどうするんですか?」と不満が出てきました。当社では、「なぜその解決策を採りたかったのか」の部分をニーズと呼んでいます。私は「在宅勤務は解決策であって、ニーズは命を守ることと経済を止めないこと。でも社長である私も正解がわからない。だからここからは理念に照らしながら手探りで行くよ」と話しました。

日本茶で日本を元気に

私は、以前から2027年で引退すると宣言していました。社員から「次のビジョンは2030年ではなくて、社長が退職する2027年ですよね? そのビジョンを橋本さんがつくるのはおかしいです。公募制にしませんか?」と言われました。内心、ビジョンを公募などでつくっていいのかという気持ちでした。それでも「私たちは、物流センターや営業所の7年後を考えたいので、Zoomでプレゼン大会をやって、投票して1位になった社員がみんなの意見を聞きながらつくっていけばいい」という意見を受け入れました。1位になった社員がみんなの意見を聞き、つくったビジョンが「日本茶で日本を元気に」です。

ビジョン大会では、「今まで日本茶の需要創造をお茶屋さんと吉村でやってきたが、これからはもっと日本茶をいろんな人に応援してもらいながら市場を創っていくことが大事」という方向でまとまりました。ここから、少し事業領域が変わってきました。

コロナ前から抹茶アイスなどは流行っていましたが、各家庭に茶せんがないため抹茶は飲まれていませんでした。そこで、茶せんがなくても11秒振れば飲める「抹茶ミニシェイカー」をつくりました。しかしまったく売れませんでした。すると社員から「買う人が違うから抹茶缶と抹茶ミニシェイカーは一緒には売れません。抹茶スティックを売りませんか?」と言われ、これをつくったところ、お茶屋さんから「これを待ってた」とたくさん買ってもらえるようになりました。さらに、抹茶かき氷やアイス抹茶菓子のレシピブックを出して、新しい市場をつくっています。

クラウドファンディングに挑戦

コーヒーと同じように日本茶をドリップする茶器として、沈殿抽出式ティードリッパー「刻音」をつくりました。コロナ前から2年間で500回も試作をして出しましたが、お茶屋さんは買ってくれませんでした。社員から「『日本茶で日本を元気に』なのに諦めるんですか? お茶屋さんに来る消費者は急須を持っている。これは急須を持っていない人に買ってもらう商品です」と言われました。そこでクラウドファンディングに初めて挑戦したところ、3週間で799人、700万円の売り上げを達成しました。データから「単身者」「40代の男子」「急須を持っていない」「コーヒーのいれ方に凝っている」という人たちが買っていることが明らかになりました。お茶屋さんに来ていない中にも未来の消費者がいることがわかりびっくりしました。

「Leaf Tea Cup」という紙コップの中にフィルターとお茶っ葉が入っている商品もつくりました。ペットボトルに勝てるものとして考え、お湯を入れるとすぐお茶ができ、3杯、4杯と飲むことができます。ノベルティとして受けていてアウトドアなどでも使っていただいています。

経営理念を実現するために何ができるかを考え、いろいろなチャレンジをすることで、自分たちで未来は変えられるという確信を持つことができました。社会性は社会貢献、科学性は持続的な利益、人間性は社員の働きがいです。この人間性は、挑戦して成長し、失敗した喜びを分かち合う仕事場で発揮されると思います。失敗したときに「なぜこうなってしまったのか」と聞くのは「過去質問」です。「どうしたらうまくいくと思う?」と聞くのが「未来質問」です。きちんと振り返りをして、次に生かすことを意識しながら進んでいきたいと思います。

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