定率減税廃止・住民税引き上げなど庶民生活を直撃する増税に反対する【談話】

定率減税廃止・住民税引き上げなど庶民生活を直撃する増税に反対する

2007年6月29日
中同協政策委員会・税制プロジェクト委員長 河野 先

 会員の皆さまの企業でも、6月の給与明細を見た社員から驚きの声、ため息があがったのではないでしょうか。定率減税全廃と税源移譲による個人住民税(地方税)が引き上げられたため、1月から5月は一時的に減税でしたが、6月からは大幅な増税となりました。

 私たち中小企業家は、厳しく変化の激しい経営環境の中でも従業員とその家族の生活を守るだけの給与と待遇の水準を確保しようと必死の経営努力を重ねています。しかし、このような増税によって従業員の可処分所得が減少し、賃金引き上げ・維持のための地道な努力が水泡に帰すことは誠に残念なことです。また、企業と従業員が折半して負担する厚生年金保険料も毎年0.354%引き上げられていますが、現在の14.642%から9月には14.996%に引き上げられます。このような家計の負担増で可処分所得は一段と抑制され、個人消費の冷え込みが大いに懸念されます。

 中同協は、「2008年度国の政策に対する中小企業家の要望・提言」において所得課税については、定率減税の廃止や個人住民税の一律10%のフラット税率化、給与所得控除の縮減、配偶者控除・扶養控除等の廃止に反対すると主張していますが、改めてこの立場を確認するものです。

 また、定率減税とセットで実施された法人税率引き下げはそのままであり、「企業優遇」との批判もあります。確かに、史上最高の利益を上げている大企業などは相応の負担をしてしかるべきです。中同協は、「要望・提言」において、負担すべき能力のある企業が財政上の負担をすることは社会的な要請として考え、応能負担原則に基づく累進税率の導入を提言しています。

 もちろん、応分の公的負担をすることは、国民や企業の義務です。本年2月、沖縄で行われた第37回全国研究集会(中同協主催)の第15分科会「進行する大増税、中小企業経営への影響と対策」を税制プロジェクトとして担当しましたが、増税シミュレーションで中小企業への負担増を詳らかにしつつも、基本的に納税の義務を認識して発言・対応していくことを話し合いました。そこでは、納税の義務があるからこそ、納税者として税の負担の仕方と税金の使い道までしっかりと見て発言する権利があることが共通する認識となりました。

 であるがゆえに、現在のあまりにもずさんな年金記録管理問題には強い憤りを覚えます。さらに、国などの無駄な投資・歳出がいまだに目につく一方、庶民生活にだけ負担が押し付けられる事態は誠に理解に苦しむことであり、遺憾なことです。

 私たちは、無駄な歳出を大幅に削減し、不公正税制の是正を進め、応能負担原則に適(かな)う公平な公的負担を改めて強く求めるものです。来る参議院選挙では、選挙後に予定されている消費税率引き上げ問題も含め、望ましい税制のあり方について国民的な議論となることを期待致します。

以上