【09.05.21】強調された「経営者の姿勢」:中同協役員研修会

第3回九州・沖縄ブロック支部長交流会を兼ねて

 
 初夏を感じる南国・宮崎。そのワールドコンベンションセンターサミットで、5月21~22日、「第12回中同協役員研修会」が開かれ、11同友会から122名が参加しました。
 この研修会は、2年前から九州沖縄ブロックとして開催している「第3回支部長交流会」も兼ねて実施され、ブロック各県からは支部長が多く参加しました。

同友会運動の歴史と理念に学ぶ~赤石・中同協相談役

 
 1日目の第1講は、「半世紀を超えた同友会運動、その歴史と理念に学ぶ―『労使見解』を生み出した中小企業家の知恵と努力、今日的価値について」をテーマに、中同協相談役幹事の赤石義博氏が講義しました。

 赤石氏は労使見解ができた背景について、歴史的に解明し、明治維新以来の国策や第2次大戦中の国家総動員法などを挙げて、中小企業の存立基盤が常に厳しい環境におかれてきたことを紹介しました。

 1960年代から労働運動が活発になっていく中で、全社一丸の経営を進めるにはどうするかが問われてきたこと、その対応を議論する中で労使見解が生まれてきたこと。企業とくらしを守る基本は「全社一丸体制」であり、「国民や地域と共に歩む」中小企業だけが持つ底力であるとしました。
 また、「命を大切にしたい、人生を悔いないよう生きたい、世間から当てにされたい」という社員の素朴な願いを実現するためには、労使見解の精神=人間尊重の経営を行うことであると話しました。
 最後に、「経営指針を社員に『落としこむ』のではなく、社員の能力を引き出しながら共に学んで実践していくべきもの。社長が継続して積み上げていくことこそ大事」と強調しました。

同友会リーダーの使命、役割は何か~鋤柄・中同協会長

 
2日目、第2講は「同友会リーダーの使命、役割は何か―同友会で何を学び、どう実践するのか、中小企業憲章制定運動の意義にふれて」をテーマに、中同協会長の鋤柄修氏が講師として登壇。

「社員の労働環境整備を社長の自己満足で行っていないか。社員教育抜きの待遇改善は意味がない」「社員自身が10年先、20年先の待遇が見えないような会社になっていないか」「労使見解を社員の側から読む」「共同求人活動は、社長が学生を評価して採用する場ではなく、学生が社長を評価する場」「『企業変革支援プログラムステップ1』は、役員がやっても真っ青になる。自社の課題を明確に」「厳しい評価をもらえる人を周りに置くべき」など、さまざまな厳しいキーワードで参加者に迫りました。

同友会の企業づくりを組織づくりに生かす~広浜・中同協幹事長

 
第3講は「同友会の企業づくりを組織づくりに生かす―学べる組織、減らない組織、増える組織をめざして」をテーマに、中同協幹事長の広浜泰久氏が講義しました。
広浜氏は自身の苦い経験も披露しながら、「まじめに出ていたら役員にすぐなれるのが同友会。役員になって学ぶ機会が増え、さらに役割としても経営課題を深め、実践していくことが自らに課せられるようになり、リーダーシップが試される」「経営者は社員が仕事のどういうことに誇りを持っているかをつかみ、社員が主体性を発揮できる環境にしていく必要がある」と報告。

また、「学べる組織、減らない組織、増える組織をめざすチェックリスト」をもとに、支部のありようを問いかけました。

深まったグループ討論

 
各講義ごとにグループ討論で深め、2日間を通して参加者は、「いつの時代であっても変わらないのは、社長の人間性に問題。人間としての生き様が社員との信頼関係をつくり、全社一丸体制を強固なものにすると確信しました」など、感想を寄せていました。