【11.04.20】DOR95号 速報発表「中小企業、震災・原発事故による供給ネック不況へ突入」

 中同協ではDOR95号(2011年1~3月期景況調査)について回答期間を3月5日~3月15日として調査を開始しました。そこに3月11日の東日本大震災が発生し、9割が震災発生前、1割が発生後の回答となりました。震災発生の前後では企業の状況が大きく異なります。そこで震災発生後の景況を探ることを目的として、補足調査(3月28~30日)を実施し876件(東北地方を除く13同友会)の回答を得ました。対象企業が異なるため厳密な比較はできませんが、傾向を知ることができます。DOR95号では補足調査の結果について別項目を設けて記述します(近日発行予定)。

 2011年1~3月期の回答結果では、業況判断DI(「好転」-「悪化」割合)は2010年10~12月期の3から6ポイント悪化し△3となりました。売上高DI(「増加」-「減少」割合)は4→1とわずかに悪化しました。売上・客単価DI(「上昇」-「下降」割合)は△25→△19へと改善しましたが依然として深くマイナス側に留まっています。

 設備の過不足感DI(「過剰」-「不足」割合)は△5→△8と不足感が増しています。雇用面では、正規従業員数DI(「増加」-「減少」割合)は1→2、臨時・パート・アルバイト数DIは1→3とそれぞれ微増となりました。所定外労働時間DI(「増加」-「減少」割合)は2→1とプラス側を維持しました。人手の過剰感DI(「過剰」-「不足」割合)は0→△5と2008年1~3月期以来の不足側に展開しました。

 業況、売上、経常利益DIの悪化は家電エコポイント半減、エコカ△補助金の終了など政策効果の消滅が影響したと考えられます。しかし震災発生前の時点では、4~6月期は業況判断DIは△3→△5、売上高DIは1→△2、経常利益DIは△6→△7と弱ぶくみながら現状を維持することが見込まれており、また設備と人手の不足感の増加という回復の兆しも表れています。それだけに東日本大震災のショックは大きく、震災は企業環境を根底から激変させることになります。今後の見通しの大幅な変更は避けられません。

 震災発生後に実施した補足調査結果によると、直接的被害を尋ねた項目(複数回答)では「仕入先が被害を受けた」が34.3%、「販売先が被害を受けた」が16.9%にのぼりました。「特に被害はなかった」(56.3%)企業でも今後、資材不足や受注減などの影響が広がっていくことが予想されます。

 震災前と比べて売上高が「減少している」企業は既に34.1%存在します。4~6月期の受注・販売見通しは震災前と比べて「大幅に悪化した」(13.6%)と「悪化した」(45.9%)が合わせて59.5%にのぼり、4~6月期の景況の激しい悪化は避けられません。見通し悪化の原因を尋ねた項目(複数回答)では「仕入先が被災地にある」(49.2%)、「流通経路が経たれた」(31.6%)、「顧客が被災地にある」(28.6%)が挙げられています。

 さらには東日本を中心として、原発事故に関わる風評被害や東京電力の計画停電の影響が見逃せません。需要面でも、「自粛」雰囲気による消費マインド低下は深刻な需要収縮を招来します。震災発生の影響が中小企業景気の前途に深刻な影を落としています。

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